風のガーデン

P:若松央樹・浅野澄美
主題歌:平原綾香 「ノクターン」 収録CD:「ノクターン/カンパニュラの恋

第一話
「スノードロップ」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

このドラマの放送を待たずして緒形拳さんが亡くなられたのは、一視聴者でしかない私でも相当なショックでした。
緒形さんといえば、私の記憶の中で一番古いのは「鬼畜」。
そして廓の映画が好きだった私としては「陽暉楼」の緒形さんも記憶に残っている。
晩年は優しく温かい雰囲気をかもし出すような俳優さんで、昔の面影とは違ってきていたけど、それもまたいい味で好きな俳優さんだったのに・・・。
残念でたまりません。
亡くなったというニュースの数日前にこのドラマのクランクアップ会見でブラウン管越しにお目にかかったというのに・・・。
でも、このお仕事を最後の打ち上げまできちんとやり遂げて旅立っていかれたというのは、ご本人も納得の人生だったのではないでしょうか?

私だけでなく、このドラマをご覧になったほとんどの方が同じような感じだったのではないかと思うのですが、画面に緒形さんが登場したところで涙がつーっと流れてしまいまして・・・、いろんな想いを抱えたまま初回を拝見致しました。

倉本聰さんの富良野三部作、「北の国から」「優しい時間」に続く最終章。
テーマは「生と死」。
どんな想いで緒形さんが演じていらっしゃったかと思うと、またこみ上げるものがあるわけですが・・・。

初回なのでほとんど人物紹介的な感じでした。
東京の有名医大病院の麻酔科准教授・貞美(中井貴一)は姉の冬美(木内みどり)の家を訪ねた際に妻・冴子の七回忌について聞かされるわけよ。
貞美は父で訪問医の貞三(緒形拳)に勘当されて以来、故郷の富良野には帰ってなくて、娘のルイ(黒木メイサ)や息子の岳(神木隆之介)とも全く会っていない。
冴子が残した「風のガーデン」という名のブリティッシュガーデンを貞三・ルイ・岳の三人が守っていること、ルイがよさこいソーラン祭りに出ること、知的障害のある岳が貞三の作ったインチキな花言葉を全部覚えている事を聞かされた貞美。

そんな貞美はすい臓がんに侵された二神(奥田瑛二)という患者の麻酔を頼まれるんだけど、この二神という男が何やら怪しい株取引をしてるみたいでね〜。
結局、オペはしたものの転移が見られたため、ガンの切除は出来ずに閉じたらしい。
この二神という男がどう関わってくるんだろう?
そして、そんな貞美自身がすい臓がんに侵されているらしい。
自分でエコーで調べるあたりは、医者ならではのせつなさがあったなぁ。
この病気をきっかけに貞美は家族との再生を考え始めるようですが・・・。

驚いたのは平原綾香の演技。
こんな芝居の出来る人たちの中に入れられて可哀想に・・・と思ってたんですが、意外と自然な演技と台詞回しでビックリしちゃったよ。
そしてエンディングに流れる平原綾香の歌が、心に染み入る感じでたまりませんわ。(´Д⊂グスン

ルイは不倫をしているみたいだし、貞美は茜(平原綾香)という若い恋人がいるみたいだし、岳には障害が・・・。
それぞれの人間模様と家族のあり方、生きることと死ぬ事。
いろいろ考えさせられそうなドラマです。

第二話
「エゾエンゴサク」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

貞美(中井貴一)の具合は相当悪いようだね。
痛み止めも手放せない感じだし・・・。

そんな中、北海道での学会へ向かった貞美。
茜(平原綾香)も連れて行き、学会に来ている医者がうじゃうじゃいる札幌で変な噂が立たないようにと別々のホテルに宿泊。
しかも茜に取ってやった部屋は、ゴージャスだよ〜。(笑)

でも、貞美の目的は別にあったのよね。
札幌で開業している三郎(布施博)に自分の診断をしてもらいたかったのよ。
結果はかなり悪かった。
すい臓がんでステージ4b・・・切除不能なんだそうな・・・。
「富良野には言うな」と三郎に念を押し、ゴージャスな部屋で待つ茜の元へ行った貞美。
何も知らない茜を力いっぱい抱きしめる様子は、誰かにすがりたいけどすがる事もできない孤独な一人のがん患者の姿だった。
年の離れた二人だけど、何となくお互いに癒されている感じがするんだよね〜。

さて富良野では岳(神木隆之介)が可愛がっていた犬のホタルが死ぬという出来事がありました。
死んだホタルを抱きかかえて涙している岳に、貞三(緒形拳)が「生きてる者は必ず死にます」と語りかけるんだけど、この台詞を緒形さんがどんな気持ちで仰ったのかと思うと、またこみ上げるものがあるわけで・・・。
それにしても、初回で見た緒形さんよりも2話の緒形さんはぐっと痩せられたような気がして、そんなところも気にして見ちゃってました。

二神(奥田瑛二)は最初にオペした病院を出て、今度は貞美の病院へ入院。
運ばれて来た時は黄疸が出てひどい状態だったという二神は、すい臓がんのステージ4a〜4bという診断。
まさに貞美の目の前にいる二神が、自分と同じ病気で同じような進行状態なんだよね。
こういう状況で貞美は何を思うのだろうか?
きっと二神から受ける影響も大きいんじゃないのかな?

第三話
「タイム」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

旭川のさゆり(森上千絵)が貞美(中井貴一)に会いに来て、貞美の亡くなった妻・冴子の7回忌の話をした。
そしてルイ(黒木メイサ)が不倫をしていることや、よさこいソーラン祭りに出ることも・・・。
自分は不倫をしてきても、やっぱ娘が不倫してると聞かされるとショックを受けるんだね・・・。
よさこいソーランに出るルイをこっそり見に来いと誘われた貞美。
そりゃ、自分の体のことを思えば、ここで会いに行かなきゃね〜。
ご対面とまではいかなくても、一方的にでも娘の晴れ姿を見たいのが親心でしょう。

でも、この不倫というキーワード、この一家にとっては相当大きなものなんだよね。
貞美が妙子(伊藤蘭)と不倫していたのを知って、妻の冴子が駅のホームから身を投げ自殺したらしい。
富良野の家族を顧みず、東京で好き勝手して挙句の果てに妻を自殺に追い込んだ息子を、貞三(緒形拳)は許すことが出来ず親子の縁を切ったというわけか・・・。
それだけではなく、二度と富良野に足を踏み入れるなとまで言い放った貞三。

そんな貞美の娘のルイが、やはり不倫・・・。
しかも、相手の宮内(白石雄大)は大阪に転勤が決まったのを、ルイに言えずにいたらしい。
父親の不倫で母親が自殺しているのに、自ら不倫に走ったのも逆らえない運命だったんでしょうかね?

貞美の昔の不倫相手の妙子が、貞美の異変に気付きつつありますね。
それに二神(奥田瑛二)が病院のベッドで死ぬのはイヤだと、キャンピングカーを発注しているというのも気になるわ。
「間に合わなかったら先生にやるよ」という一言が現実になるんじゃないかしら?

第四話
「ゲラニウム」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

よさこいソーラン祭りで踊るルイ(黒木メイサ)を見る貞美(中井貴一)の涙とか、その後、風のガーデンで岳(神木隆之介)を見ている貞美の表情とか、台詞もないシーンで結構ぐっと来るところがあった。
健康でいた頃には顧みる事がなかった家族を、自分の命に期限が切られるようになってから恋しく思うというのは哀しいものですね。

さゆり(森上千絵)の段取りでルイと会うはずだった貞美。
しかし、ルイは明(白石雄大)と会う約束があり、そっちへ行っちゃったわけだ。
でも結局、明の妻がやって来たとかで会えず・・・。
傷心でさゆりのところへ戻った時に、貞美が来ていることを知らされるんだよね。
うーん、このタイミングで父親が来ていると知らされても、恋人の事の方がウェイト占めちゃってるかもなぁ。(゚ー゚;Aアセアセ

東京へ戻った貞美は、「ガンを宣告された患者の気持ちがわかるか?」と怒りを露にする二神(奥田瑛二)に、自分も同じすい臓がんを患っていることを告白してましたね。
そして妙子(伊藤蘭)にも麻薬パッチを使用している事を知られ、何の病気が追及され・・・。
院長(小野武彦)にも病気のことを知られ、退職願を出す貞美。
それでも限界まで働かせて欲しいと頼んでいるのがせつなかったです。(´Д⊂グスン
自分で限界を感じたら退くから・・・とか、見ていてダメだと思ったら言ってくれとか・・・。
今は、この人には仕事しかないのかもしれないなぁ・・・と。
もし、その仕事を失ったらこの人は何を頼りに余生を送るのだろうかと考えてみたり・・・。
そこで浮かぶのが家族の顔なんでしょうか・・・。

いやぁ、とてもスローペースで進むのですが、最後の平原綾香の歌に毎回ジーンとしてしまいますわ。

第五話
「カンパニュラ」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

あ〜、冒頭のハチミツがおいしそうでした♪

貞三(緒形拳)さんが往診している患者さんの家での治療をめぐってのやり取りには考えさせられるものがありました。
在宅医療を願う父親と家族に東京から帰ってきた長男が、病院へ運べは治療の方法があるかもしれないのに・・・と反発するわけですが、この長男に対し穏やかな口調で医者としての意見を述べる貞三さんが良かったです。
最期を病院で迎えれば、家族は手を出す事ができない。
しかし、最期を家で迎えると決めて在宅医療を選べば、家族が患者さんの世話をし、患者さん自身も安心して旅立つ事が出来る。
「手は尽くした、しかし、自分で世話は出来なかった」と遺された家族が感じるのか、それとも「最期までお世話をして送り出すことが出来た」と感じるのかは、かなり違うのかもしれない。
どちらが正しいとは一概には言えないけど、患者本人が家での最期を望んでいるのなら、家族はその希望をかなえてあげたいと思うのかもしれないな。
最期ぐらい、希望通りにさせてほしい・・・と私なら思うかも。

貞美(中井貴一)も相当体が辛そうですね。
二神(奥田瑛二)が苦しむ姿を見るのは、まるで自分のこの先を見るようであり、そんな二神に付き添う香苗(国仲涼子)を見ると、自分にはそういう存在がないことを思い知らされるわけで・・・。
そんな貞美に手を貸そうとする妙子(伊藤蘭)の申し出を、きつく断ったのは貞美自身が今の自分の弱さに気付いてしまったからなんでしょうね。
今、手を差し伸べてくれる人がいれば、きっと自分は頼ってしまうし求めてしまう。
それが過去に不倫していた妙子であれば、余計にそうなってしまうかもしれない。
「もうこれ以上、罪を犯させないでくれ!」と言って崩れる貞美が、何とも可哀想でした。

二神が用意していた医療器材搭載のキャンピングカーは、貞美に譲渡するという二神自身の意向が香苗から伝えられた。
尊厳死協会の申込書に記入し、貞美は着々と最期の時の準備を進めているっぽいですね。(´Д⊂グスン
レコーディングが決まった茜(平原綾香)がしばらく会えないという貞美に、「今年の終わり頃、カンパニュラの恋が街頭から流れてきて〜」と嬉しそうに話すのを聞いていた貞美のせつない表情が何とも言えませんでした。
その頃、自分がまだ生きているのか・・・。
それすらわからないんだもんね。

二神から譲り受けたキャンピングカーで、どうやら貞美は富良野に向かったようです。
風のガーデンの側にキャンピングカーが停まってましたね。
来週は、岳(神木隆之介)と貞美が会ってしまうような・・・、そしてその現場をルイ(黒木メイサ)が見てしまうようでした。
一気に話が進みそうな雰囲気です。

第六話
「デルフィニウム」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

朝もやの中、ガーデンで会った貞美(中井貴一)と岳(神木隆之介)。
岳が貞美の事を「大天使ガブリエル」だと勘違いした事で、この場面がコミカルに感じられて、重々しくなかったのが逆に良かったと思う。
「もしや・・・大天使ガブリエル様ですか?」という岳の問いかけに、「そうです」と答える貞美。(笑)
「ガブと呼んでください」には笑っちゃったよ。

貞美の女好きは高校時代からだったようで、エリカ(石田えり)という昔の彼女との会話も、何気に楽しかった。
長い間会っていなかったのに、「あの後さ〜」とつい最近の事のように喋ってくるエリカ。
長年会ってない人だからこそ、逆に昔から現在へ一気に繋がってしまうものかもしれないなぁ・・・なんて考えながら見ちゃったよ。
でも、そんなさり気ない会話の中で、エリカが言った「病気は治るけど、あんたの女好きは治らない。」って一言は、貞美にとっては重い一言だったんじゃないかな?

岳は貞三(緒形拳)にガブリエルに会った事を話してしまう。
でも、まさかそれが貞美だとは思わない貞三は、天使に三つだけ質問をして良いはずだと岳に教える。
その翌朝、再びガブさんと会った岳。
グリーンハウスの中で岳がいれたハーブティーを飲む気持ちって、どんな感じなんだろう?
私が貞美だったら、それだけで涙が出ちゃいそうなんだけどなぁ。
そこへ岳からガブさんへの質問が始まります。
「僕のお父さんは天国にいますか?」
「もうすぐ来ると聞いてます。」
くー・・・、これだけでも泣けるのに、岳が「父をよろしくお願いします」と深々と頭を下げたところで、涙がポロリだったよ。(TωT)ウルウル
こんな立派な子に成長したのを目の当たりにしたら、自分の今までの人生を悔やむとともに、ガンになったことさえ天罰かと思ってしまうかも・・・。

そんな貞美に知らされたのは二神(奥田瑛二)の死。
やがて自分の身にも起こることだけに、この知らせは辛かっただろうなぁ。

すっかり恒例になりつつある、朝のガブさんと岳の密会。
ところが、ついにルイ(黒木メイサ)にその光景を見られてしまうことに・・・。
岳のピアノにあわせて貞美がチェロを弾いていたところに、ルイが現われて・・・。
貞美の顔を見るなり、ルイは逃げ出してましたね。
この事は貞三さんに伝えられるのでしょうか?

第七話
「サポナリア」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

貞美(中井貴一)を大天使ガブリエルだと信じている岳(神木隆之介)は、挨拶もしないで逃げたルイ(黒木メイサ)に失礼だと怒る。
その時は逃げたものの、やはり父親の事は気にかかる様子のルイ。
珍しく頼ったのは修(平野勇樹)でしたね。(笑)
やっぱ、森の中にクマが出ると恐いもんね。(^▽^;)
ってなわけで、ガブさんが消えたという森の中へ修に付き添ってもらって入っていったルイは、キャンピングカーを見つけるわけよ。
たまたま貞美は留守で、キャンピングカーのドアをノックしても、誰も出てきてはくれなかったんだけど、父親がその車で寝泊りしている事は想像できたようで・・・。

一度、東京へ戻った貞美は部屋を片付けていました。
訪ねてきた妙子(伊藤蘭)に自分に何かあった時に貞三(緒形拳)に渡してもらう手紙を託し、岳と会った時の事を話す貞美。
「あんな幸せな事なかったな」という一言に、とても実感がこもっていて泣きそうになっちゃったよ。(´Д⊂グスン

富良野に戻った貞美の前にルイが現れた。
どんな憎まれごとを言うのかと思ったら、「時々すごく恨めしく思った。だけど、時々すごく会いたくなった。」と言うルイ。
そう言ってもらえただけで、貞美は幸せだよね〜。
ぎこちなかったのは最初だけで、すぐに父と子として話しているのが不思議だけど、何故か自然で・・・。
そこはお互いに不倫を経験した男と女でもあるからなんだろうか?(苦笑)
妙な遺伝子が父と娘をつないだというか、理解させたというか・・・。
そして、岳の前ではひと夏天使で通す事に決めた貞美。
でも、ひと夏って・・・、その次の夏はきっとないのにね。(´Д⊂グスン

貞三さんが最期を看取った三沢のおじいちゃん(織本順吉)。
あの最期は変な話だけど、ちょっと憧れたよ。
家族みんなに囲まれて、あちらの世界に旅立った時は家族が拍手してくれて・・・。
「頑張ったね」って声をかけてもらって、孫たちに手を握ってもらって・・・。
昔は普通だった家で亡くなるということには、こういう旅立ちの余韻のようなものがあったんだろうな・・・と、しみじみ考えさせられました。

でも、そこで貞三さんは知ってしまうのよ。
葬儀の準備でやって来た貞美の同級生たちが、貞美が帰ってきていることを話しているのを聞いて・・・。

岳とはガブリエルとして会い、ルイとは自然と打ち解けた貞美。
しかし、貞三さんとはそう簡単には顔を合わせられないだろうね。

第八話
「フロックス」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

ルイ(黒木メイサ)に「明日の朝、ガーデンに行けば、ガブリエルさんに会えるかも」と言われ、岳(神木隆之介)は早朝からガーデンに向かった。
で、久々のガブさん=貞美(中井貴一)との再会。
二人とも敬語で話す会話なんだけど、その中にちょっとした面白さや温かみが感じられて、エゾエンゴサクの球根を掘りながらの会話も楽しかったなぁ。
話している途中で貞美の携帯が鳴って、少し不審そうな顔をする岳に向かって「あちらでも携帯が流行ってます。ヘヴンコールと言います。」なんて、しらっとごまかすあたりも可笑しくて・・・。

電話は水木(布施博)からで、麻酔科医としてオペを手伝ってほしいというものでした。
断りきれず手伝いに行ったものの、ひとつ仕事を終えたら限界って感じでしたね。
帰りの車の中では猛烈な睡魔に襲われていたようで、運転しながらまぶたが重くなっていく様子は、ドラマだと分かっていてもヒヤヒヤもんでしたわ。(゚ー゚;Aアセアセ

やっとの事でキャンピングカーに戻って来ても、ルイとさゆり(森上千絵)が訪ねてきて休まらないし・・・。

エリカ(石田えり)たち同級生が、貞美の歓迎会をやると言って呼び出したのに、行ってみると生前葬だったのはビックリした。
最初は「こんなの笑えないよ・・・」と思ったけど、同級生ならではの遠慮のない様子が逆に貞美を元気付けたようで・・・。
弔辞と言いつつ貞美の過去の暴露大会になってるし、それがまたすべて女がらみで可笑しいし・・・。
二度と戻る事はないと思っていた故郷で、自分の病を知らない同級生が開いてくれた生前葬。
泣かずにはいられないよね・・・。(´Д⊂グスン
貞美にとっては、すごく意味のある生前葬だったと思うよ。

貞三(緒形拳)は貞美が富良野に帰っているらしいことを知り、ルイに確かめる。
貞三が「富良野に近付くな」と言ったことを悔やんでいる事や、貞美が会いに来れない原因は自分にあると考えていると、素直にルイに語ったあたりに、貞三さんの老いも感じられるわけで・・・。
キャンピングカーの場所を聞き、一人でそこへ向かった貞三は車の中で点滴をしながら眠っている貞美の姿を見るんだよね。
そして、周りにあった麻薬パッチやエコー写真を見て、貞美の病状を知ってしまったようで・・・。
貞三さんも医者なんだもん、察しがついちゃうってもんだよね。(;つД`)
結局、貞美に気付かれないうちに車を去って行く貞三さん。

貞美の病状もどんどん悪化してるみたいだし、早く父と息子のわだかまりを解いてほしいけど、会えば会ったで辛い運命かと思うと複雑です。

第九話
「ラムズイヤー」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

貞三(緒形拳)はルイ(黒木メイサ)に貞美(中井貴一)に会いに行った事を2〜3日黙っていて欲しいと告げて札幌へ向かった。
水木(布施博)に貞美の病状を聞くために・・・。
すい臓がんで水木が診た時にはすでに切除できる状態ではなかったこと、麻薬パッチや座薬で痛みを逃していること、年を越せるかわからないこと。
いくら貞三も医者だとしても、息子のこんな病状をいきなり聞かされるのは辛いと思う。
しかも、自ら遠ざけた息子だけに辛いよね。

貞三さんが義姉・春江(草笛光子)を訪ねて相談するところも泣けちゃったよ。
貞美がガンで余命わずかだと打ち明け、「混乱してわからなくなってます。私、どうしたらいいでしょうか?」って、あの貞三さんがしょんぼりしてるのが見ていて辛かったわ。
「一刻も早く、家に迎えておやりよ」という春江さんの言葉で、貞美を受け入れる決意をした貞三。
たぶん、貞三さんの中では混乱しつつも答えは出ていたんだろうね。
だけど、それが正しいのかどうかもわからなくなっていた。
あの貞三さんでさえ、誰かに聞いてほしかったって事なのかも・・・。

ルイに貞美の病気のことを貞三さんが打ち明けるところも、妙に淡々としている分、胸に迫るものがあった。
自分が貞美に取ってきた態度をルイに詫びる貞三さん。
そして、ルイは病気のことを知らないことにしよう、岳には大天使ガブリエルのまま通そうと決めた貞三。

だけど、ルイも父親の大きな秘密を胸にしまっておけるほど大人ではありませんでした。
貞美の同級生が生前葬をやった話を聞くなり「ひどい!」と怒ってしまい、そこから貞美の病気のことがエリカ(石田えり)にも伝わっていくんですわ。
確かにルイにしてみれば、ガンで余命わずかな父に生前葬なんてひどいと思うでしょう。
貞美があの生前葬を心から喜んだ事を知らないんだもんね。
エリカたち同級生もふざけてやった事とはいえ、まさか貞美がそんな病状だとは知らず、悔やんだり今更ながら慌てたり・・・。

そして、貞三さんと貞美の再会。
キャンピングカーを訪れた貞三が、これまた穏やかに貞美に話しかけるんだよね。
水木から病気のことをすべて聞いたこと。
最初は医者と医者としてのアプローチだったのが、自然と父と息子という間柄に戻っていき、貞三が「家に帰ってこないか?」と言ったあたりで泣いちゃったよ。(つд∩) ウエーン
父と息子がお互いに自分の非を認め謝罪し、許しあう姿。
「家へ戻って来いよ。少しは君の役に立てる。」と言う貞三に、考えさせて欲しいと頼む貞美。
そして貞三さんが「生きてる間にやっておきたかった事は何かね?」と質問する場面があるんだけど、この台詞を緒形拳さんはどんな気持ちで仰ったのかと思うと、違った意味で泣けてしまいました。
貞美はルイとバージンロードを腕を組んで歩きたかった、ウェディングドレスをルイが着る日に付き合ってやれない事が残念だと話すんだよね。

何かルイが喜ぶことをやってあげたい。
そんな気持ちが、一生懸命エゾエンゴサクの球根を植えることに繋がってたんだ。
ルイが好きな花だから・・・。
自分がもう生きてはいないであろう春に、ルイが好きな花をいっぱい咲かせるために・・・。(涙)
どんなに離れて暮らしていたとしても、父親は父親なんだなぁ・・・。
春にエゾエンゴサクが咲き乱れる光景を想像しただけで泣きそうになっちゃうよ。

第十話
「ユーフォルビア」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

貞美(中井貴一)の病状はかなり悪化してるみたい。。゚(゚´Д`゚)゚。

そんな中、貞三(緒形拳)は貞美を大天使ガブリエルだと信じている岳(神木隆之介)が貞美の死ぬところを見るのはおかしいと、岳を旭川の上原ファームに行かせることをルイ(黒木メイサ)に相談。
そして、岳が出て行った後、その部屋を貞美に使わせようと・・・。
何だろうね・・・着々と貞美の死へ向けての準備がされているんだけど、変に悲壮感が漂うような事もなく、静かに時が過ぎていく感じが何とも言えません。

貞美の生きがいがルイとバージンロードを歩く事だと貞三に聞かされ、ここにエリカ(石田えり)が絡んだ事から、一気に茶番劇が現実化へ動くわけですよ。
「結婚するふりだけして、貞美を騙せばいい」
「相手なんて誰でもいい」
そうエリカに言われたルイが、結婚相手に選んだのが修(平野勇樹)。(笑)
エリカから事情を説明された修は大真面目にこの役を引き受けたんだよね。

で、ルイの結婚話を貞美に話したのは貞三さん。
これまた大真面目に息子を騙そうと思ったんだろうけど、茶番だという事は最初から貞美にはバレバレだったようで・・・。
それでも話を信じたふりをするのが、貞美の最後の家族愛なのかも・・・。
自分のためにみんなが嘘をついているのを、きちんと愛情だと受け止めることができなければ、貞美自身も騙されてあげようと思うことができないだろうしね。

旭川へ行く岳とさり気なく別れてやってくれと貞三さんに頼まれた貞美。
どんな風にさり気なく別れるのかと思ったら、これが泣けちゃったよ。。゚(゚´Д`゚)゚。
突然、上原ファームに行かされることになってガブさんと別れることで取り乱す岳を「大丈夫」と強く抱きしめ、なだめる貞美。
たぶん、息子をこんなに抱きしめたのは初めてだったんじゃないかしら?
最初で最後になるであろう、我が子を抱きしめた感触を噛みしめているかのような貞美の表情にぐっと来るものがありました。
そして、迎えの車に乗り込み去って行く岳を、実に大天使ガブリエルらしく見送った貞美・・・立派です。
森の中にたたずむガブさんが、少しおどけた表情で明るく岳を見送る姿に、またまた涙してしまったわ。(TωT)ウルウル

茜(平原綾香)が歌う「カンパニュラの恋」が、ラジオから流れてくるというのも何だか良かったですね。
きっと、もう会うことはないんだろうけど、それがまたせつなくて・・・。

いよいよ最終回ですか・・・。
貞三さんが作った花言葉の本が、ちょっと欲しくなりました。

最終話
「ナツユキカズラ」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

風のガーデンでの結婚式は、妙子(伊藤蘭)宛の手紙でどんなに素晴らしかったかが伝えられる中で、映像としては少しだけ・・・。
でも、それで充分でした。
ルイ(黒木メイサ)と一緒にバージンロードを歩きたかったという貞美(中井貴一)の夢を叶えてやるために、貞三(緒形拳)たちみんなが芝居をした嘘の結婚式。
それを嘘だと知りつつ、騙されてやった貞美。
「やさしさごっこ」という表現が使われていたけど、素敵な言葉だなぁとしみじみ思ってました。

実家に戻った貞美は、キャンイングカーの鍵をルイに渡し、車を修(平野勇樹)にやってくれと言う。
「花婿役者へのオレからのギャラだ」
自分がすべて知っていることを明かし、お芝居はこれで終わりにしようとルイに言うんだよね。
最期の時を家族と一緒に暮らす中で、もう嘘はいらない・・・そう思ったのでしょう。
今まで向き合えなかった分、これからの短い時間はすべて真実であってほしいものね。。゚(゚´Д`゚)゚。

手紙を読んだ妙子は富良野へやって来て貞三に会い、貞美の役に立ちたいと申し出るんだけど、それを貞三は丁寧に断った。
ばらばらだった家族が、貞美の最期を一緒に闘うことでやっとひとつになろうとしている。
家族にとって大事な時間なわけだ。
こういうことをはっきり言う事で、貞三が貞美を思う親心が計り知れるし、「今」をどれだけ大事に思っているかもわかる。

痛みをとるための麻薬のせいで、貞美はほとんど眠っているような日々が続いていた。
それでも、目が覚めている時はジョークをとばしたりするのが、何となくリアルな感じだった。
家族に囲まれているって、こういうことなんだろうな。
死に直面していても、そこに家族がいて日常があって、寝ている部屋は病院じゃなく我が家なのであって・・・。
こうして死を迎えることは、本人にとっても家族にとっても覚悟がいることだと思う。
だけど、このドラマを見ていて少しだけ「羨ましい」という気持ちになった。
貞美の最期を貞三とルイが一緒に闘うなんて、双方に覚悟がなければ出来ないことだけど、そうやって人の死を見届ける事で見送った側にもこれからの人生を歩みだす準備ができるような気がしました。
離れていた岳(神木隆之介)にもガブさんの声が聞こえ、「ナツユキカズラの花言葉」を聞かれた気がしたのが印象的だった。
「今年の冬に降るはずの雪」
雪が降る季節までは生きられなかった貞美に、ナツユキカズラの花はどう映ったのかと思うと、目頭が熱くなっちゃいますね。

こうして貞美は旅立ちました。

その年の暮れ、エリカ(石田えり)の理容室を訪れた貞三さん。
生前葬の話、偽の結婚式のことを笑って話せるというのが大事なんだよね。
亡くなった人の事を思っていつまでも泣いたりせず、しみじみと思い出して笑顔になれるというのが本当に大事。
ただ貞三さんが言った「死ぬ順番がまったく逆です」って一言には、父親としての悲しみがあふれていたと思う。

生前の貞美に頼まれた通り、ルイはカンパニュラの押し花を額に入れて茜(平原綾香)に渡し、貞美の死を伝えた。
チャペルコンサートで茜が歌った「カンパニュラの恋」がせつなくてね〜。(´Д⊂グスン

ラストシーンは、これまた良かった。
春になり、ガーデンにやって来た岳とルイ。
岳が犬を追いかけて走っていった先には、一面にエゾエンゴサクの花が・・・。
貞美が一生懸命植えた球根が開花したんですよ。
しかも、キャンピングカーのあった場所だけきれいに土のままで、その周りに花が咲き誇っている様子は、貞美がそこにいた事を思い出させてくれるわけで・・・。
死ぬ前に貞美は「次の世界に行けたら、何かサインを送るよ」と言ってたけど、これがそのサインなのかな・・・と思いました。

人が死んでいく事って、実は普通にいつかは誰もが迎える出来事なわけで、決してドラマティックでもなんでもない事なのかもしれない。
やがて来るその日の事を、自分なりに考えようと思わされた作品でした。

緒形拳という俳優さんが、このドラマを見事に完成させて旅立って行かれた事、本当に立派だったと思います。
大好きな俳優さんでした。ありがとうございました。

 

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