ハゲタカ

原作:真山仁 「ハゲタカ(上)」「ハゲタカ(下)」「バイアウト 上」「バイアウト 下

第1回
「日本を買い叩け!」
脚本:林宏司
演出:大友啓史

いやぁ、面白かった!
NHKのドラマって派手さはないんだけど、中身勝負な感じがしてちゃんと見せてくれるんだよね。

1998年、ニューヨークのホライズン・インベストメント・ワークスの敏腕ファンドマネージャー・鷲津(大森南朗)が「日本を買い叩け」という会社の指示で帰国。
その鷲津の最初の仕事が、かつて勤めていて2年で辞めた三葉銀行相手のバルクセール。
バルクセールとは何ぞや?とチンプンカンプンな私でも、ちゃんとわかるように説明してくれましたわ。
銀行の抱える不良債権のまとめ売り・・・それがバルクセールなのね。
そこで三葉銀行側のエリートバンカーとして登場するのが芝野(柴田恭平)。
芝野は鷲津の元上司なんですが、鷲津は銀行にいた頃、融資を断った相手が自殺したという耐え難い過去があるらしく、その時芝野がどんな言葉をかけたのかも気になるところなんですわ。
鷲津がこれだけ非情なファンドマネージャーになったのも、きっとその自殺問題がきっかけなんだろうし・・・。
さらに、その自殺した人物の娘・三島由香(栗山千明)がテレビ局の経済担当記者になっていたりで、そこらへんの関わり方も面白そう。

さて、バルクセールですが、こんなんでいいの?ってな買い叩き方でしたね。
53件の不良債権のうち、値段がついたのが13件、他は1円での買い取りって・・・。(゚ー゚;Aアセアセ
1円っすよ!
チロルチョコすら買えませんよ!(^▽^;)
銀行側の希望額のわずか9.1%である93億で買い取ると涼しい顔で告げる鷲津。
こんな無謀な話をスムーズに進めるため、前もって三葉の重鎮役員・飯島(中尾彬)を抱き込んでるあたりも手馴れてるし・・・。

老舗旅館「西乃屋」の債権を手に入れた鷲津は、西乃屋の社長・西野(宇崎竜童)に毎月決められた額を返済するか、全額返済するか?と迫り、どちらも無理だと判断すると183億の債権をチャラにする代わりに西乃屋を手放せと言い放つわけよ。
それでも先代からの旅館を守りたいと泣きつく西野に、鷲津は「2億用意すれば旅館だけはくれてやる。ただし、2週間以内に・・・。」と、これまた情け容赦ない言葉を残して去ってしまうわけだ。

追い詰められた西野が、自販機の小銭をかき集めてる姿を見てたら悲しくなっちゃった。
そんな小銭集めたってどうしようもないのに・・・。
それを見て、ただ泣くしかない妻・史子(永島暎子)もせつない。
金策がうまくいくはずもなく、生気を失ってホライズン社を訪れた西野の姿が哀れでね〜。
ポケットから有り金全部出して土下座するんだけど、そんな人を前にしても顔色ひとつ変えず「2週間の約束を過ぎてたんで、他のファンドに売った」と言っちゃう鷲津の冷酷さが恐い。
「あなたにあの旅館の経営は荷が重すぎたんです。」

ボロボロになってホライズン社を後にする西野。
「お前に任せればよかったかな?」と、息子・治(松田龍平)宛てのメッセージを留守電に残し、失意のまま車にはねられ死んでしまうんですわ。

このドラマ、全6話なんだけどその6話分の予告をすべて見せちゃうんですよね。
でも、それが「もっと見たい」「先が知りたい」と思わせる予告になってて、正直「やられた!」って思っちゃいました。
うーん、早く2話が見たい!o(^o^)o ワクワク
松田龍平さんって、何となく映画の人ってイメージがあったし、弟の翔太君より顔つきが恐い(失礼)ので、私の中では何となく「食わず嫌い」的な扱いだったんですが、お父様の雰囲気をより受け継いでるのは龍平さんの方ですね。
鷲津のせいで旅館と父親を一気に失った治のこれからにも注目です!

第2回
「ゴールデン・パラシュート」
脚本:林宏司
演出:井上剛

このドラマが始まってくれたおかげで、土曜の夜が待ち遠しくなった。

今回はサンデー・トイズという一族経営の玩具メーカーが鷲津(大森南朗)のターゲット。
私が以前OLやってた会社も所謂「一族経営」、夫も別の会社だけど「一族経営」の会社勤め。
二人で、ドラマを見ながら「そうそう」「わかる」と頷きながら見ちゃいました。
社長の大河内瑞恵(冨士真奈美)とその一族が、会社を私物化してる様子がね〜。
多少の誇張はあるかもしれないけど、大体あんなもんだよなぁ・・・と。
株の62%を大河内ファミリーが握ってるというのも、「あぁ、やっぱり」だったし・・・。

鷲津は債権を買占め、最大債権者になるという手に出る。
三葉銀行の芝野(柴田恭兵)はサンデーを再建させようと考えている。

鷲津は一族が経営から手を引く事を条件に、買った債権を放棄すると言う。
株の報酬で働かなくても金は入ってくるじゃないですか・・・ってな提案。
破産したくなかったら経営から退けと鷲津に言われても、「会社は子供、愛情がいっぱい詰まってるの。」とうそ臭い台詞で切り抜けようとする瑞恵。
そこで鷲津が言った「だったら、あなたは子育てに失敗したんじゃないですか?」って言葉は、あの瑞恵を真っ向から斬ってくれてちょっと小気味良かった。(笑)
先週の西野さん(宇崎竜童)にはちょっと同情もしたんだけど、今回の瑞恵は誰かに叩きのめしてほしいって気持ちがあったもんで・・・。(^^ゞ

サンデーの経理が三葉の天下り先って事で、大河内色を一掃するのは無理だと飯島(中尾彬)。
鷲津はゴールデン・パラシュートと呼ばれる札束攻勢で瑞恵の息子・伸彰(小林正寛)に、社長を説得させようとする。
あの伸彰がいかにも何も出来なさそうなボンって感じだったから、目の前に3億なんて金と社長の座がちらついたら、鷲津に従っちゃうんじゃないかなぁ・・・と思ったんだけど、今回は芝野の勝ちだったわね。
イマイチ、芝野がどういう話をしたのかがわからかったんだけど、伸彰をたき付け、取締役会で社長の解任動議を提出させ、民事再生の道を選ばせたらしい。

今回、昔の鷲津が三島((渡辺哲)のねじ工場に出入りしていた頃のシーンがありましたが、三島といい関係だったみたいで・・・。
あの鷲津が三島の死をきっかけに、今の鷲津に変わったんだね〜。
そこには芝野が言った「酷な言い方だが借りたものは返してもらうし、返せなければ倒産するしかない。突き詰めればそれが資本の論理だ。」という言葉があったわけで・・・。
下請けの工場として、親会社の命令で工作機械を入れるために借金した200万が返せず、首をつった三島。
200万・・・それっぽっちで死ななきゃならなかったのが何とも辛い。

工事現場で働く治(松田龍平)を訪ねた芝野が、彼を前にして何も出来ないのもせつなかった。
「晴れた日に傘を貸して、雨の日にとり上げるんだよね?今日は貸してくれるんだ・・・雨なのに。」という治の言葉を聞けば、恨んでないと言われても芝野の心は痛むわけで・・・。
治、冗談だと言いながら会社を起こすから300万貸してって言ってましたね。
淡々と彼の中で準備してるんだろうなぁ。
あぁ、また次が待ち遠しい!

第3回
「終わりなき入札」
脚本:林宏司
演出:井上剛

芝野(柴田恭兵)は伸彰(小林正寛)を社長に据え、サンデー社の改革に乗り出す。
一方の鷲津(大森南朗)は社長を退かされた瑞恵(冨士眞奈美)を使えると考え、「もう一度社長に戻る気はありませんか?」とけしかける。
そりゃ、あの瑞恵だもん!社長の座に戻れるなら戻りたいわよね〜。(笑)

そしてサドンデス方式の入札。
芝野も鷲津も試算によると、つっこめる上限は190億と読みは同じ。
状勢は五分五分・・・そう聞かされた瑞恵は何が何でも鷲津に勝ってもらいたくて、伸彰の横領の証拠を渡すわけよ。
鷲津はそれを由香(栗山千明)に渡し、由香は芝野に確認しようとするんだけど、飯島(中尾彬)に「リークを握りつぶせ」と言われた芝野は「事実ではない」と報告するしかなかった。
うーん、サラリーマンの辛いところじゃの〜。

最低入札価格120億から始まった入札で、鷲津は1億刻みとなかなか細かい。
相手の入札価格がわかってから、20分の間に次の入札価格を決めなきゃいけないみたいだけど、20分なんてあっという間だよね〜。
189億が三葉、そして上限設定だった190億を入札したホライズン。
これ以上つっこむのか?と思ったら、どうやら芝野が由香に電話を入れて、例の横領のニュースが速報で伝えられたらしい。
三葉がおりて、ホライズン側の勝利!

これで社長に戻れると思っていた瑞恵さん。
ちょっと考えが甘かったようですわ。
ホテルの宿泊費240万を会社にお金を借りて払おうとする瑞恵。
結局、この人の体質みたいなものは、何も変わってないんだよね。
鷲津は最初からそれもわかってて、瑞江をけしかけたってわけか。
ホテル代が払えず自己破産するしかない瑞恵、自己破産すれば代表取締役社長にはなれない。
かつて三島(渡辺哲)が200万の借金を返せず首をつったことと、今回瑞恵が240万のホテル代を払えず社長の座を再び追われること・・・。
鷲津の中では結びついてるんでしょうか?

治(松田龍平)、着々とお金を貯めて会社を起こす準備をしてたのね。
やっと貯まった300万、治からも目が離せないわ。

芝野は辞表を提出。
人生の折り返し地点を過ぎた44歳、残りの人生を自分に言い訳しながら生きていくには長すぎる。
辞める決断をした芝野に、「辞めないのも勇気」と言った沼田(佐戸井けん太)の一言にもしびれました。

「一緒に日本を買い占めましょう」という鷲津に、「俺とお前は違う」と言った芝野。
鷲津から見れば、芝野も自分も同じらしい。
さあて、この先も面白そうですな・・・。

第4回
「激震!株主総会」
脚本:林宏司
演出:堀切園健太郎

2004年、ホライズンの鷲津(大森南朗)のターゲットは大空電機。
銀行を辞め、企業再生家となった芝野(柴田恭兵)はフェニックス計画を掲げ、大空電機の再生に立ち上がっていた。
鷲津の行くところに、必ず芝野アリ・・・って感じですな。

大空電機は会長の大木(菅原文太)がカメラの製造工場として立ち上げた会社で、「企業は人なり」をモットーに一度もリストラをした事がない。
その大木はガンで余命3ヶ月。
今の大空電機はそこから発展したというカメラレンズ事業部が売却される予定に・・・。
そこにまた由香(栗山千明)の実家・三島製作所も絡んでるのが面白いのよ〜。
由香の父親が自殺した後の三島製作所に手を差し伸べたのが大木で、それ以降は大空電機の下請けとして仕事をもらってきた。
鷲津は由香の父親を自殺に追い込んだことがきっかけで、今のような人間に変わったわけでしょ?
で、結果としては西乃屋もサンデートイズも再生させてるわけじゃん!
由香も言ってたように、鷲津がただの「ハゲタカ」とは思えないんだよね〜。
今回の大空電機にしたって、大木に「会社は行き続けなければならない」って言ってたのを考えても、最終的には再生させようとしてたんじゃないかと思えるし・・・。
そういう面では、やはり芝野も鷲津も同じなのかな?と思えてきた。
芝野だって大木に何度もフェニックス計画のやり直しを命じられて、「血を流す事も必要」って言ってたもんなぁ。
ただ、鷲津にとって流す血の中に三島製作所が含まれているのは、精神的に厳しかったんじゃないかと思うけど・・・。

株主総会当日、「新たな時代を切り開くべき」と主張する鷲津。
対する芝野は、大木からの手紙を読み上げる。
「人と人とのつながりは変わらない。従業員が力を合わせれば苦境は乗り切れる。3年あれば生まれ変わる。私が死んでも、大空電機の魂は死にません。」
そして、伝えられる大木の死。
株主に「3年の猶予を下さい」と訴え、頭を下げる芝野。
うーん、どうでしょう?
さすがにこのお涙頂戴的な感じだと、私も冷めた目で見ちゃったなぁ。
会場にいた治(松田龍平)が、小バカにしたように「ふっ」と笑った気持ちがわかるかも・・・。

いよいよ治が起業したようだし、鷲津の前に立ちはだかる構図が見られそうですね。
それにちらっとだけ見せられた鷲津に銃口を向ける治のカットも「うわ〜っ」って感じでした。

第5回
「ホワイトナイト」
脚本:林宏司
演出:堀切園健太郎

ハイパークリエーションの治(松田龍平)は鷲津(大森南朗)に手を組もうと持ちかけるが、交渉は決裂。
鷲津は株式公開買い付け(TOB)を仕掛け、そこへホワイトナイトとして現れたのが治。
こうしてホライズンVSハイパークリエーションのTOB合戦が始まった。

そんな中で鷲津は由香(栗山千明)の実家の工場を救おうと、本社には秘密でテクスン社の社長に接触。
今回の鷲津の行動には、三島製作所を・・・そして大空電機を守りたいという気持ちが現れてましたね。
それに対して治は非情な感じで・・・、二人の対比が面白かったです。

ホライズンがTOBに成功すれば、大空電機の現社長・塚本(大杉漣)には社長の座を退かせ、芝野(柴田恭兵)を社長にするつもりだろうと治。
社長の座を守りたい塚本の心理をうまく利用したってわけか。
利用するといえば、マスコミの利用の仕方もうまかったよね〜。
テレビに出て鷲津があくどい事をしてきたと話せば、誰だって見方変えちゃうもんなぁ。

鷲津と治のテレビでの対談は、もっと見ていたい感じだったなぁ。
途中で鷲津解雇の知らせが入らなければ、鷲津にどんどんやり込められる治の姿が見られたような気もするんだけど・・・。
しかし、CMのないNHKのドラマの中で、ニュースのCM中に鷲津解雇の知らせが入るというのも見方によっては面白い。(笑)
鷲津が解雇され後継はアラン(ティム)に・・・。
ハイパークリエーションはTOBには勝ったけど、2週間後にインサイダー取引が発覚。
あっという間に駆け上って、あっという間に転げ落ちていくような治の人生。
「俺たちも金に振り回されただけだったのかな?」という治は、自分のこめかみに銃口を突きつけて鷲津の目の前で死のうとする。
その銃を治から引き離そうとして、鷲津は撃たれてしまう。

さぁ、いよいよ最終回ですね。
予告で鷲津が「自分と芝野が組めば・・・」みたいな事を言ってたのが気になるなぁ。

最終回
「新しきバイアウト」
脚本:林宏司
演出:大友啓史

大空電機を手に入れたのはホライズン。
新社長として就任したのはホライズンの大賀(松重豊)、そして芝野(柴田恭兵)は取締役として大空電機に残ったものの、大幅なリストラを任され辛い日々。

治(松田龍平)に撃たれた鷲津(大森南朗)は意識は戻ったものの、足が不自由になった。
それでも必死にリハビリしてるのは、彼がまだ諦めてなかったからなんだよね。
ホライズンに解雇されても、彼には目標があったんだなぁ。
っつーか、解雇されて良かったよね。(^^ゞ
治は保釈金2億円で自由になったものの、由香(栗山千明)に西野(宇崎竜童)が旅館を守るためにかき集めようとした2億と、保釈のための2億ではぜんぜん違うと言われその意味を考え始める。

由香の役割も最終回では活きていた。
鷲津と芝野の想いが同じだったとしても、きっとあのままでは二人は歩み寄れなかったかもしれない。
でも、由香が間に入って鷲津には芝野が苦しんでいる事を、芝野には鷲津が諦めてないことを伝えることで、それぞれが一歩距離を縮めて相手に近寄ることができたわけだし・・・。
レンズ事業部の切り売り、残れる従業員は加藤(田中泯)を筆頭に50人のみ。
何とかしたい芝野が、鷲津に会いに行って「お前と俺は同じだ。頼む、協力してほしい。もう一度ファンドビジネスをやる気はないのか?」と言ったあたりはゾクゾクしちゃったよ。
ホライズンを退職する時、36億受け取れば向こう10年ビジネスは出来なかった。
しかし、それを鷲津は断っていた。
「芝野さん、あなたとなら踏み出せる気がする。鷲津ファンドを立ち上げようと思います!」
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 
こうなった時に、ホライズンで鷲津の下にいた村田(嶋田久作)や中延(志賀廣太郎)が集ってくるのも泣けるじゃないですか。

鷲津が計画したのは、エンプロイー・バイアウト(EBO)。
従業員による買収。
出資者がいない中、鷲津が自分の全財産をかけてMGS銀行の飯島(中尾彬)を説得するのも良かったし、三島製作所に「私にも償う機会を与えて欲しい」と芝野が頭を下げて出資を頼んだも良かった。
そして加藤を説得するあたりもね〜、重い空気が何とも良かったわ。
99.9%は金で解決できるかもしれないけど、残りの0.1%は紙切れではどうにもならない。
その0.1%が大きく事態を動かすこともある。
「かけてくれませんか?私と芝野に・・・。」
くーーー、泣けるなぁ。
シブいなぁ。
しびれるなぁ。

鷲津と芝野の想いを受け止めた加藤が、今度は従業員たちを説得する。
「仲間の犠牲の上で新製品を作る。そこに希望はあるのだろうか?誇りはあるのだろうか?」
うわ〜、田中泯さんシブすぎ!
亡くなった大木会長(菅原文太)の意思を継ぐものたちが、みんなでひとつになって大空電機を守ったという結末が何とも良かった。
テクスンの社長も大木会長のやり方を崇拝していたからこそ、力を貸してくれたわけだし・・・。
EBO成立、新会社「あけぼの光学」では芝野が新社長に。
ここまでやって、ようやく亡き三島(渡辺哲)に手を合わせ報告する事が出来た鷲津。

あぁ、しっかりしたいいドラマだったわ。
難しい内容なんだろうけど、意外とわかりやすかったし・・・。
こういうの、どんどん作って欲しい!
もう終わっちゃったのかと思うと寂しいぐらいだわ。

 

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