優しい時間

原作:倉本聰
P:若松央樹・浅野澄美
主題歌:平原綾香 ♪「明日 (DVD付)
「優しい時間」オリジナル・サウンドトラック


第1回
「雪虫」
脚本:倉本聰
演出:田島大輔

あぁ・・・よかった。(涙)
初回から泣くとは思わなかった。
ゆったりした時間の流れ・・・これがドラマになるとイライラしたりしがちなんだけど、ぜんぜんそんな事はない。
このゆったりした時の流れに、どっぷりとハマっている自分がいる。
そして景色は文句なく素晴らしい!

過去に自分の運転ミスで母親・めぐみ(大竹しのぶ)を亡くしてしまった拓郎(二宮和也)。
妻・めぐみの死から半年後に会社を辞め、妻の故郷である富良野で喫茶店を始めた勇吉(寺尾聰)。
めぐみの事故死から連絡を取らなくなった父と息子。
父に内緒で富良野の近くの美瑛の窯元で、陶芸の勉強をしている拓郎。
いやぁ、もうこの導入部分だけですーっと気分は富良野へ。(笑)

勇吉がやってる「森の時計」という喫茶店もいい感じだよね〜。
話によると、ドラマのために実際にこの喫茶店を建てちゃったんでしょ?
いやぁ、ビックリ!
勇吉と拓郎をいずれ繋ぐ存在になりそうな梓(長澤まさみ)。
「森の時計」で働いてる女の子なんだけど、拓郎とも偶然に知り合いになって・・・。
それにしても、すぐに皿を割ってしまうという梓・・・何か理由があるんだろうね。
拓郎にも皿を割っているところを見られて、窯元にいる拓郎が師匠の気に入らない皿をわけてやると約束してたけど、こうやって流れていった皿が拓郎と勇吉を繋げていくのかもしれない。

そして、毎回この喫茶店にやってくるお客がゲスト出演者なんだけど、初回は時任三郎&手塚理美。
「ふぞろいの林檎たち」見てた世代には、たまらんものがありましたわ。
またね〜、時任さんが泣かせるのよ〜。
勇吉の会社の後輩・水谷(時任三郎)とその妻・美子(手塚理美)が森の時計に現れて、実は水谷も会社を辞めて秋田でペンションを経営すると設計図まで見せて嬉しそうに話すわけ。
ところが実は美子が乳がんで、残された時間も残り少ない中の最後かもしれない旅行だったわけで・・・。
勇吉に水谷がその事を話す、二人だけのシーンが泣けて泣けて・・・。(・・,)グスン
秋田に土地を買ったのも嘘、ペンションの設計図も借り物、会社を辞める話もフィクション。
妻が前向きになれるようについた夫の嘘。
でも「女房を最後に騙すぐらいなら、全部捨てて本当にしちまおうか・・・」って水谷が言った気持ち、すごくわかるなぁ・・・って思った。
優しい嘘なんだけど、大きな嘘なわけで・・・妻への愛情なんだけど、妻への後ろめたさもあるわけで・・・。
ただ、それを「よい」とも「悪い」とも言えないんだよね〜。
結婚して15年だけど単身赴任が多くて、実際に一緒に暮らしたのは5年弱しかないっていうのも、ぼろぼろ泣けちゃったわ。
「まだ新婚なんですよ」って、哀しい台詞だよなぁ。
黙って聞いてる勇吉が、また何ともせつない。

実際にはいるはずもないめぐみと、森の時計のカウンターを挟んで勇吉が会話してるのもよかったなぁ。
めぐみは亡くなった人なんだけど、勇吉の中で確実に生きていて、今でも心の支えになってるんじゃないかしら?
拓郎が朋子(余貴美子)に頼んで渡してもらったお手製のマグカップ、めぐみはちゃんと拓郎の作品だとわかって、愛しそうに大切そうに両手で持ってコーヒー飲んでたのも良かったよね。
最後に喫茶店の従業員やお客さんが、サプライズで店の外に集まってハッピーバースデイを歌ってくれたのも、過去に勇吉がめぐみにしてあげて喜んだあのサプライズのお返しみたいな気がして・・・。
これはもう絶対見るでしょう!
はぁ・・・何で今回の@woman、「H2」担当なんだろう・・・。(^^;

第2回
「拓郎」
脚本:倉本聰
演出:田島大輔

うーん、期待していた2話のゲスト、田畑智子ちゃん。
正直、どうよ?って感じだったなぁ。
いや、彼女自身がどうこうってわけじゃなく、あの新婚カップルのエピがね。(^^;ゞ
森の時計に駆け込んできた女性・秀子(田畑智子)を追いかけてやってきた健(中村俊太)。
健を避けるような素振りの秀子に話を聞くと、新婚旅行でやって来てレイプされたんだと!
それも夫である健に・・・。(はぁ?)
スカートめくられて(ワクワク)、何をされたかというと・・・足の指ペロペロ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

何でも結婚するまで未経験だったそうで、いきなり押し倒されて足の指ペロペロでレイプされたと騒いでらっしゃるお嬢さんのようですわ。(^。^;)
後で勇吉(寺尾聰)が聞いたところによると、健も初めてだったそうで・・・。
おぉ、初めてで足の指ペロペロしちゃいましたか?(笑)
Hなビデオはご覧になっていたようですな。(*^。^*)

初回の時任&手塚カップルとは違った感じのゲストでしたが、毎回哀しみを背負ったカップルがやって来てもなんですし・・・まぁ、これはこれで良かったんでしょう。(^^;

で、本筋では拓郎(二宮和也)と梓(長澤まさみ)だよね。
拓郎からもらった皿が森の時計で受け入れられず、ヒステリーでバンバン皿を割っていった梓。
彼女の皿割り行為は、やはり何か心の問題と関係がありそうだね。
で、拓郎の師匠・六介(麿赤兒)が破片を使いたいと言い出し、梓は悪天候の中、車で破片を運ぶ。
その途中、悪路にタイヤがハマり動けずにいたところを、探しに来た拓郎に発見され濡れた服を乾かしに拓郎の住む家へ・・・。
必死に破片を届けようとしている梓の一途さが可愛かったなぁ。
拓郎が助けに来ても、まず「破片!」って自分の服に大事そうに破片をくるんでるところとか・・・。
でも、とりあえず森の時計に電話してるのを拓郎が聞いちゃって・・・。
これで梓が森の時計や勇吉と繋がりのある人物だとわかってしまったわけで、それが原因で梓を距離をおこうなんて思わなきゃいいけどな・・・と思ってみたり。

皿のお礼にと梓が渡した爪ブラシを、形の変わった歯ブラシだと思っていた拓郎には笑えたよ。
そんなデッカイ歯ブラシ・・・馬用ですか?って感じだよね。(^^;

最後は、まためぐみ(大竹しのぶ)とのファンタジックな会話でシメ。
「あいつ今誰かに愛されてるかな?」と言う勇吉に、「きっと誰かに愛されてるわ。」と答えるめぐみ。
そして、勇吉の手には拓郎が作ったマグカップが・・・。(涙)

きっと、めぐみは勇吉と拓郎の仲を取り持つための存在だね。
父と息子の関係が修復できたら、めぐみはもうカウンターでコーヒーを飲んだり会話したりしないんだろう。
う〜ん、ファンタジーですなぁ。(しみじみ)

第3回
「初雪」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

今回のゲスト出演は未亡人・美可子(清水美砂)と梓(長澤まさみ)の高校時代の先生・松田(佐々木蔵之介)。
森の時計に松田がいて梓が情緒不安定っぽくなってたけど、過去にそんな事があったとは・・・。

松田は梓の初恋の人だった。
妻もいた松田だったけど案外積極的で・・・、しかし学校で噂になり梓がいじめられるようになると、松田は梓から逃げるようになった。
あ〜、それは傷つく。
そして学校へ行かなくなり、リストカットを繰り返した梓。
なるほど、そういう過去があったのか・・・。
んで、皿を割る事もそれと関係してるんだろうか?
皿を割るという行為はリストカットの代わりの意味を持つのかも・・・。
松田が勇吉(寺尾聰)に梓に謝りたいと言っていろいろ話してたけど、印象は良くなかったよね。
勇吉にビシッと「それは違うんじゃないですか?」と言われて、最後にこれだけは梓に伝えてくださいと、また「結果として逃げてしまったけど、あの頃は本気で恋をしてた。真剣だった。」なんて言う松田。
それを梓に伝えろってか?完全に違うと思う。
今さら、あの頃本気だったなんて言われても、まだ高校生だった梓をいじめの輪の中に放り出して逃げた事実は消えないんだよ。

拓郎(二宮和也)と勇吉が、どうやって離れる事になったのかというのもちょっとわかったね。
めぐみ(大竹しのぶ)を結果として死なせてしまった拓郎への勇吉の怒り。
息子だけど大事な妻の命を奪った人間。
抑えようとしても抑えられない怒り。
そんな息子の口から、これからも一人で生きていくとか、今までも側にいてもらったわけじゃないとか言われたら・・・。
縁を切ってしまいたくなる気持ちもわかる。
拓郎と勇吉を繋いでいためぐみという存在がなくなって、親子でありながら親子ではないような微妙な関係の父と息子。
息子は父の前で強がり、父はそんな息子の強がりを許す余裕はなかった。

その後、一度だけ拓郎は勇吉に会いに来た事があったみたいね。
勇吉の事を気遣って「体、大丈夫ですか?」と言う拓郎に、まだ冷たくするしか出来なかった勇吉。

何だかせつない・・・。
親というのは子供を許してやれるものだと思い込んでいたけど、そう簡単に許せない事もあるんだなぁ。
六介(麿赤兒)の息子が結婚相手を連れて帰って来て、盛り上がる家族に触れた拓郎。
ふと父親に会いたくなったんだろうね。(涙)
森の時計に行って、樹のかげから薪を取りに来た勇吉をこっそり見てる。
「誰かいるのか?・・・きつねか。」と店内に入っていく父親の姿を、涙を流しながら見ているだけの息子。
その後、涙で走り出す拓郎の姿がせつなくて、せつなくて・・・。
めぐみに話してる勇吉の態度だと、もう息子に対するわだかまりはないように思うんだけど、それが実際に会ったら違うのかしら?

そうそう、森の時計でお客さんがコーヒーミルをひくスタイルは、生前のめぐみの提案だったのね〜。
妻が言った言葉をちゃんと覚えていて、それを実現してると思うとそれもちょっと感動しちゃうよなぁ。

第4回
「根雪」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

常連客の音成(布施博)に、店が倒産寸前だと借金を申し込まれた勇吉(寺尾聰)。
勇吉だけでなく「森の時計」で顔を合わす他の常連客にも借金の申し込みをしていたらしいけど、それだけ切羽詰っていたという事だろうね。
お金の問題で友情にひびが入る事もあるし、どんなに仲が良くてもお金の貸し借りはしたくないというのが普通だろう。
困っている人を助けてあげたい気持ちはあるけど、そこに金銭が絡むとどうしても難しくなってしまう。
最後にめぐみ(大竹しのぶ)に言ってた「俺は周りに厳しすぎるのかな?」という勇吉の呟き。
「そういう人って必要なのよ」というめぐみの言葉。
うん、わかるけど・・・わかるけど・・・音成さんが首をつったと聞かされて、その後のやり取りにしては、ちょっと軽い感じがしてしまった。
勇吉がきっぱりと借金を断った事がすべての原因ではないと思う。
だけど、借金返済の期限が切れるまでの残り30分ほどを、「森の時計」で過ごしていた音成さんの気持ちを思うと・・・。
確かに店の荷物を持ち出されている中で、たった一人で店に残っている奥さんは可哀想だった。
音成さんだけが逃げていていいはずもなかった。
だけど、うーん、だけど・・・。
音成さんが首をつったと聞かされ、「一緒に行くかい?」と警察の人に言われても「いえ」と言う勇吉が、私もちょっとだけ冷たい人に感じてしまった。

だけど、だからといって梓(長澤まさみ)の行動や言動も、いまひとつ理解できないんだよなぁ。(^。^;)
レジのお金をポケットに入れた事が見つかって、勇吉が二人きりで話をしようとするんだけど、最終的にはいつもレジのお金と売り上げが合わなかった。
それも、いつも足りなかった。
その分は自分が穴埋めしてた・・・そして今日多かった金額は、今までに自分が穴埋めした金額には満たない。
・・・・・・・・これで「あぁ、そうですか」と納得できる大人はどこにもいないよ。
森の時計を辞めると言って、飛び出した梓は拓郎の家へ・・・。
ところが以前、梓を家に入れていた事がバレた拓郎は、北時計の朋子(余貴美子)に「あんたは余計なハンデ背負ってるから、人より自分に厳しくなければ・・」と言われていて、訪ねてきた梓を家に入れず、車の中で話を聞く。
勇吉の事を冷たいと言い、どんどん悪口を言う梓。
「大嫌いよ、ああいう偉そうぶる大人」という梓の言葉で、拓郎がついに我慢できず口を開いた。
「悪口はよせ!人の悪口は聞きたくない!」
それでも止まらない梓が勇吉の事を「オヤジ」呼ばわりした事で、拓郎が「関係ないお前がオヤジなんて言うな!」と・・・。(泣)
自分の親に対する悪口、そして自分が呼びたくても呼べない「オヤジ」という言葉を、あっさりとしかも良い使い方ではなく、悪意を込めて呼ぶ梓に我慢の限界を感じた拓郎。
「あの人は俺のオヤジだ。オヤジの悪口をこれ以上言うな!」
あ・・・ちょっと、せつないシーンだった。
二宮君、なかなか良いね〜。
北時計の朋子さんと梓との関係について話しているシーンも良かったけど、ここでの梓とのやり取りもよかった。
これではっきり梓が勇吉と拓郎の関係を知ってしまったわけね。
ただ、情緒不安定な梓がこの事実を隠していられるか、ちょっと心配。
でも誰かがバラしてくれなきゃ、勇吉と拓郎が接触する機会ってもてないのかもしれないわね。

第5回
「記憶」
脚本:吉田紀子
演出:田島大輔

今回のゲストは、森の時計の前で滑って転倒し頭を打ち、一時記憶を失くした男性(小日向文世)。
自分が誰だか思い出せないまま森の時計にやって来てしまい、従業員の女性にポケットの中身を調べられてるのなんて、なんぼ記憶を失くしててもいい気はしないだろうなぁ・・・と思ってみたり・・・。(^^;
他の客が音成さん(布施博)が首をつった小屋の話をしていて、それまでの記憶を取り戻した男性は、実はサラ金の取り立てをしていて音成さんにも取り立てを行っていた人物。
半年前にリストラされて、仕方なく取り立ての仕事を始めたものの、やはり心に負担があったようで、自分が担当していた音成さんの通夜に出席しようとやって来たところだったのね。
しかし、コートの下は黒いネクタイでいかにも・・・って感じだったのに、コートを森の時計で脱がなかったところがミソだね。(笑)

音成さんが亡くなる前に、呑みながら話していたという勇吉(寺尾聰)と未亡人の美可子(清水美砂)をくっつけようという話。
正直、美可子の話がまだ出てくるとは思わなかったので驚いたよ。(^^;
音成さんの遺言だ・・・なんて常連客は言ってたけど、今後も美可子が絡んでくることがあるのかしら?

音成さんの御通夜で勇吉が包んだ香典。
金額は明らかにされなかったけど、多かったみたいね。
音成さんの奥さん(キムラ緑子)が「過分なお志を頂きまして・・・お気持ちだけ頂きます。」と返しに来たところ、どちらの気持ちもせつなかったわ。
もちろん返しに来た方も辛いと思うけど、返された勇吉も言葉が出ないよね。
借金を申し込まれた時、少しでも貸してあげればよかった・・・という気持ちからだったのかしら?
ご主人に先立たれて、店も潰れて・・・一人残された奥さんを気遣ってだったのかしら?
勇吉としてはお金を渡すしかなかったのかも・・・。
でも、それも返しに来られて・・・。
何となく、勇吉と拓郎(二宮和也)との関係とも繋がっているような雰囲気があったなぁ。

店を辞めると言った梓(長澤まさみ)、やっぱ戻って来たよね〜。
黙って森の時計の外の雪かきをしていて、勇吉に見つかり「昨日はごめんなさい。もう一度このお店においてもらえませんか?」と言い、勇吉を見つめる頼りなげな目。
黙って梓の雪かきを手伝う勇吉。
どっちも不器用な生き方しか出来ない人たちなんだなぁと思った。

さてさて、来週は心配してた梓が拓郎の事を喋っちゃうようですね。
どうなることやら・・・でも楽しみ♪

第6回
「聖夜」
脚本:吉田紀子
演出:西浦正記

いろんなゲストは出るものの、何だか使い方がもったいない。
初回の時任三郎&手塚理美ぐらいかな?納得できたのは・・・。
今回の木村多江さんや梶原善ちゃんなんて、これだけなのかしら?
美可子(清水美砂)が今回も登場したのを思うと、今後も登場する可能性はあり?
っつーか、理々(森上千絵)って籍抜いてなかったのね。
ずっと会ってない旦那さんがちょっとした先生の奥さんに手を出したとかで、いろいろ面倒な事になったと梶原善ちゃん扮する男が恐喝めいたことをしてたようだけど、このエピも今後まだまだ続く話?
何だかさ〜、いろんなエピを盛り込んでいるんだけど、どこが必要なのかわかりにくいんだわ。(^^;

で、一番の大きなエピはやっぱ梓(長澤まさみ)が勇吉(寺尾聰)と拓郎(二宮和也)の仲を取り持とうとする話よね。
クリスマスに美可子から買ったふたつの雪の結晶のペンダント。
最初は自分と拓郎のために買ったんだろうけど、森の時計にやって来たペアルックの父と子を見ていて考えが変わったんだろう。
二つのペンダントをそれぞれ箱に入れてラッピングし、ひとつを勇吉に、もうひとつは拓郎へ。
梓が二人を思う気持ちは悪くないと思うんだけど、これだけ溝が深い父と子がそんな簡単に元に戻れるわけはないわけで・・・。
プレゼントがある・・・と言って、二人を会わせ仲直りさせて・・・という安易な計画は、勇吉を連れ出したところまでは成功だったけど、拓郎に勇吉を連れてきた事を告げた時点で一気に終了!
「余計なこと、ガキがするんじゃねーーー!」と叫んで、皆空窯を出て行った拓郎。
「たくちゃーーーん」という梓の声を聞いて、恐る恐る近付いた勇吉が見たのは走り去る拓郎の後姿。
こんな再会になってしまうとは・・・。
愕然として梓の車の中に戻り、タバコに火をつける勇吉の気持ちがちょっとわかる気がした。
梓・・・やってる事は悪くないと思うんだけどね〜、配慮が足りないというか考えが甘いのかな?
勇吉にしてみれば、拓郎が近くにいる事を知らずにいたかった・・・ってとこかな?
知ってしまったら、これからずっと気になってしまうよね。

第7回
「息子」
脚本:田子明弘
演出:宮本理江子

サブちゃん(もちろん北島三郎なわけで・・・)、存在感あったなぁ。
雪景色とサブちゃんもマッチしてたし、薪割りするサブちゃんも似合ってたし・・・。

今回は森の時計を経営していると息子が写真を送ってきたという敏子(佐々木すみ江)が富良野へ・・・。
2週間前に届いた手紙には、森の時計の前でにこやかに笑っている息子の写真が入っていて、富良野までの航空券と大晦日に富良野駅で待っているという内容。
信じてやってきた母親は、富良野で息子の足取りを辿るうち、息子の嘘を知ることになるんだけど・・・。
「嘘」と取るか「見栄」と取るかで違っちゃうんだよなぁ。
息子を信じている敏子にとっては、「見栄」なんだよね。
そんな風に子供を信じている親と、勇吉(寺尾聰)のように拓郎(二宮和也)をいつまでも信じられない親。
敏子を見て、勇吉は我が子を信じる大切さをあらためて知った部分があったんじゃないかしら?

サブちゃんと佐々木すみ江さんのツーショットも、ものすごく雰囲気があってよかった。

朋子(余貴美子)に会いに行って拓郎の事を聞いた勇吉。
梓には勇吉の息子だと言う事を隠して近付いたんだろうか?とか、拓郎がひっかけたのか?などと聞く勇吉に朋子がビシッと言ってくれたのは嬉しかった。
壁を作っていたのは完璧に勇吉の方だもんね。
いまだに勇吉の中では拓郎は悪い息子。
大切な妻の命を奪った憎い息子。
その後、どんな風に拓郎が生きてきたかなんて、これっぽっちも見てなかった事をやっと勇吉も気付いたのかも。

夜更けに一人で皆空窯へ行き、一人ろくろに向っている拓郎をそっと見つめる勇吉は、やっと父親らしい顔になっていたよね。
そっと外に置いてきたお守りに拓郎が気付くのはいつだろう?
勇吉が置いたものだと気付くかしら?
陶芸展への出展がうまく行けば、父親に会いに行こうと思うかな?
陶芸展に専念するため、梓(長澤まさみ)との連絡を絶った拓郎だけど、理由がわからない梓がまたとんでもない行動に出そうなのが怖い。

そうそう、1話で登場した水谷さん(時任三郎)の奥さん(手塚理美)が亡くなったそうで・・・。
こうやって遠くで亡くなった知り合いの死は、本当に「風の便り」って感じで伝わって来るんだなぁと思ったりしました。

第8回
「吹雪」
脚本:倉本聰
演出:田島大輔

富良野が大吹雪に見舞われた日、いろんな事が森の時計を中心に起こっているような感じだった。
中でも、拓郎(二宮和也)の家庭教師をしていた堂本(徳重聡)が、偶然森の時計にやって来て・・・というエピが印象的だったなぁ。
堂本の口から語られる昔の拓郎。
勇吉(寺尾聰)は全く知らない拓郎の過去。
何だかね〜、父親なのに息子の事を何も知らなかった・・・いや、知ろうともしてなかったんじゃないかと思うと、せつなくなったなぁ。
父親の自分より単なる家庭教師だった人の方が、拓郎を知ってるわけで・・・。
そこにはめぐみ(大竹しのぶ)も、ちゃんと絡んでいたわけで・・・。
勇吉の気持ちになってみれば、自分は一体何をしてたんだろう?と堂本の話を聞きながら思ったんじゃないだろうか?

拓郎がいじめられていたという事。
それを相談していた青年が暴走族のアタマだった事。
青年がいじめていた奴らをボコボコにして拓郎へのいじめは終わったけど、今度は拓郎も族に入っていると誤解され、実際に暴走族へ入ってしまったという経緯。
しかし、慕っていた青年が抗争で亡くなり、拓郎も足を洗う。
ただ、「死神」と呼ばれた青年への追悼の気持ちで、拓郎は自分の左腕に「死神」という刺青を入れた。

さら〜っと説明されて、でもそれは勇吉にとっては重みのある説明で・・・。
きっとめぐみはそんな拓郎と向き合って、必死に頑張っていたんだろうな・・・とか、その時自分は何を見てたんだろう?何をしてたんだろう?と、勇吉は思ったんじゃないかしら?

梓(長澤まさみ)が戻らないという連絡。
行き先は拓郎のところではないかと思う勇吉。
外は吹雪・・・。
拓郎は何も悪くない・・・だけど拓郎に関係する誰かが、また死んだりはしないだろうか?という不安が、勇吉の胸の中にあったと思う。
今の勇吉に何が出来るか。
昔の自分には出来なかった何かが、今の勇吉なら出来るのだろうか?
何も知らず陶芸に没頭する拓郎と、美可子(清水美砂)やスキー客の遭難騒ぎなどがある中でも、頭の中は拓郎と梓の事をずっと心配している勇吉。
めぐみを失って以来、初めて勇吉の気持ちが拓郎へ向ったのかもしれないな。

そんな中で、梓のリストカットは胸が痛んだ。
繊細でいろんな事を自分の中に抱え込んでしまう梓の性格はわかったつもりだけど、こんな風に思いつめてしまったら、自分だけでなく周りも傷付けるんだという事をわかってほしい。

来週はキョンキョンが登場!
梓と同じようにリストカットの経験があるナースみたいで、彼女の気持ちを解きほぐしてくれそうな感じ。

関係ないけど(関係なくもないか)、今、うちの地方は「Dr,コトー」の再放送やってるのよね。
そこに理々役の森上千絵さん発見しちゃったよ。(^^;
ちょっとした感動♪

第9回
「傷痕」
脚本:小林彰夫
演出:西浦正記

キョンキョンが実にキョンキョンらしいナースぶりだった。
リストカットをした梓(長澤まさみ)が運ばれた病院のナースなんだけど、彼女自身も過去にリストカットの経験があるという人物。
「そんなとこ切ったって死ねないわよ。死ぬならここ切んなさい!」と、自分の手首の傷を見せる。
たぶん・・・いや経験がないから想像の世界でしかないんだけど、自分の傷より人の傷の方が見ていて痛みを感じるのかもしれない。
こういう人と出会った事で、梓の気持ちにも変化があったのかも・・・。

勇吉(寺尾聰)があのペンダントをつけてきてくれたのも、梓にとっては嬉しかっただろうなぁ。
あれを身に付けてくれる事が、自分を受け入れてくれる事にも思えたのかも・・・。
そして意外だったのが美可子(清水美砂)。
彼女はどこから梓が入院している事や入院先の病院を知ったんだろうか?
勇吉と一緒に来たわけでもなさそうだし・・・。
でも、美可子が梓のお見舞いに持ってきたバングルはよかったなぁ。
「包帯取れたらこれやんなさい。ちょっとした傷なんか隠れちゃうわよ。」
美可子なりの気遣いを感じた。
そういう気遣いが梓の負担にならないように、いつも通りのちょっと天然っぽいままでさらっと渡して・・・。
うーん、美可子を見直した瞬間だった。

だからかなぁ、退院した梓が一番に向ったのは美可子のところだったよね。
銀細工を教わりに行ったんだけど、梓にもそうやって打ち込めるものが出来れば違ってくると思う。
拓郎(二宮和也)は陶芸、梓は銀細工・・・同じように何かを作り出す事に没頭すれば、何かしら共感したりする部分が出てくるかもしれないし。

家庭教師の堂本(徳重聡)、拓郎を訪ねてくれて良かったわ。
彼が皆空窯に行って、拓郎がそこにいる事を勇吉から聞いたと言ってくれた事や、拓郎の高校時代の事を勇吉が聞いてきたという事を拓郎に聞かせる事で、少なくとも自分の事を知りたがっているって事がわかるもの。
拒絶されたままなら、きっと知ろうともしないだろう事を父親が知りたがっている。
これだけで今の拓郎には十分だったと思うけど、オブジェの中に隠された富良野神社のお守りがね〜。(涙)
最初は梓からだと勘違いして、久々に彼女に電話をして会うことになったんだけど、その会話の中でお守りを置いていったのは梓ではない事に気付き・・・。
何だろう?
お守りが会った事で、ずっと会わずにいた梓に会えて、梓も嬉しかったと思うし、その事でお守りが勇吉からである事を気付き、父親の温かみに触れる事が出来て・・・。
すごい、このお守りの持つ意味は大きかったんじゃないかしら?

自分の腕に傷をつけた事を悔やんでいる梓に、拓郎が自分の腕の刺青を見せたのもぐっと来た。
しかし、予告では拓郎がその刺青を焼印で焼き消そうとしてなかったかい?(・・;)
傷を消すのが傷ではいけない気がするんだけど。

第10回
「刺青」
脚本:倉本聰
演出:宮本理江子

美可子(清水美砂)がペンション滝川の滝川さん(納谷真大)の愛人だったんだってさ!
ようやく、美可子役に清水美砂がキャスティングされた意味が分かった気がする。(^^;ゞ
未亡人というのは本当だったけど、旦那さんを亡くした後、四十九日に来てくれた滝川さんと喪服(和服)で思い出話をするうちに、「気付いたらあの人、乗っかってましたの(⌒^⌒)bうふっ」だって!(笑)
あの、あっけらかんとした色気が美可子らしかったけど・・・。
滝川の奥さん・珠子(杉田かおる)が血相変えて、美可子の部屋にやってくるあたりは、鬼気迫る珠子の表情が怖かったわ〜。
杉田かおるならでは・・・。(苦笑)
そして、森の時計でもコーヒーミルで豆を挽く音がね〜(^^;、普段なら心地よい音のはずなのに音にも感情が出ちゃうんだな・・・って思わせるような荒々しい音だったわね。
それにしても、美可子の「体の関係ができると、不思議とその方死んじゃうの。もう3人も・・・。ふふふふふ。」ってーのは怖かったぞ〜。
滝川さん、大丈夫かしら?(^^;

そして今回は勇吉(寺尾聰)が六介(麿赤兒)に拓郎(二宮和也)の父親だと言って、初めて顔を合わせたのが進展だったかな?
徐々にだけど、拓郎と勇吉の距離が縮まっていく感じはするんだけど、陶芸展に向けて作品作りに没頭する拓郎を乱さないでほしいと六介に頼まれ、またまた勇吉と拓郎の距離もストップ。
梓(長澤まさみ)も、拓郎を乱さないように自分は銀細工に没頭して、ただただ拓郎がいい作品を作る事を祈ってるあたりが進歩だったよね。

それにしても、めぐみ(大竹しのぶ)が死んだ事故・・・あれは運転する拓郎の腕にある刺青を見ようとしてもめていたのか・・・。
何で、あんなにも運転する息子の手を取ったのか疑問だったんだけど、ちょっとは納得できたかも。
でもね〜、朋子さん(余貴美子)がなぁ・・・。(^^;
拓郎と勇吉を繋ぐ一番の理解者であってほしかったんだけど、昨日の拓郎との会話はどうなんだろか?
ちょうど拓郎は陶芸展への作品作りで煮詰まっていたりもするわけで、そんな時に刺青見せなさいとか、それが勇吉との間に距離が出来た理由だ・・・みたいに言われたら。
追いつめてしまうじゃありませんか!拓郎を・・・。
勇吉が六介に「拓郎を乱すな」と言われていたのを、朋子だって横で聞いていたはず。
なのに、あんたが乱してどうすんの?って感じですわなぁ。(^^;

窯の火をじっと見ていた拓郎が、メラメラと燃えさかる窯の中から焼いている陶芸作品を取り出して、「死神」の刺青に押し付けるところは痛々しくて・・・。(・・,)グスン
駆けつける六介にも涙してしまいました。

しかし、森の時計にまたもやあの「フリーズ」するアベック(劇中でアベックと言ってるから使うけど、普通オレでも言わねーーーし)はどうなのよ?
あたくし的に目障りなだけなんだけど・・・。

最終回
「雪解け」
脚本:倉本聰
演出:田島大輔

刺青を焼いた事で、昔をひとつ清算できたと拓郎(二宮和也)。
あまりにも痛々しい清算の仕方だね。
1200℃もあったらしいよ・・・焼けてる陶器の温度。(・・;)
神経も筋肉も血管もダメージ受けてるとか言ってたくせに、痛み止めでごまかしながら陶芸展への作品作りに励むだなんて・・・。
でも、この陶芸展へ出品する事が拓郎にとっての、ひとつのけじめなんだろうね。
そして刺青を消すのもけじめ。
どんな事があってもやり遂げなくてはならないし、乗り越えなくてはならない。
子供の成長ってすごいなぁ・・・って思ったよ。

父親の勇吉(寺尾聰)の方が、ずっとずっとその場に踏みとどまっていた感じがするんだよね。
そんな中、拓郎は少しずつ成長し、いつか父親ともう一度・・・と望んで頑張ってきた。
拓郎が火傷の痛みに耐えるとき、勇吉が置いていった富良野神社のお守りを腕に当てている姿は泣けたなぁ。

泣けたと言えば、六介(麿赤兒)も・・・。
拓郎の作品が完成して、勇吉に見せに行ってもいいか?と尋ねた後、「運転できるか?」「送って行こうか?」って六さんの優しさにじ〜ん・・・。(涙)
パッと見ぃ怖いし(^^;、口数も少ないんだけど、六さんって本当にいい人だよね〜。

そして、待ちに待った父と息子の対面。
「ご無沙汰してます」と拓郎がやって来ると、「やぁ」と答える勇吉。
もう、この時点で父親が息子を許していることはわかるんだけど、息子にしてみれば父との壁は厚かったわけで・・・。
自分が作った陶器を見せて、「今日は謝りに来ました」と刺青を焼き消した痕を見せる。
痛々しい火傷の痕にも涙が出たけど、拓郎の涙声の「許してください」でぐっと来た。
「僕がやったこと、母さんの事、刺青の事、父さんを傷付けてしまったこと・・・」
父親に許しを請うまでに拓郎が一人で歩んできた道のりは、決して楽なものではなかったと思うけど、いろんな人に支えられて自分自身も自分と向き合って、やっと父親に会いに来る事が出来た。
長かったんだろうな・・・。
勇吉も「すまなかった」と謝り、森の時計に現れた梓(長澤まさみ)に「大事な人を紹介するよ。」と、息子・拓郎を紹介。
ここらへんも、じ〜んとしたなぁ。
でも、拓郎が作った陶器を梓が手にした時は、思いっきりハラハラしちゃったよ。(^^;
また、いつもみたいに割っちゃったらどうしよう・・・って。(^^;ゞ
陶器が無事でよかったぁ。(^。^;)ホッ!

最終回は立石さん(國村隼)の結婚する娘さんに須藤理彩ちゃんとか、めぐみ(大竹しのぶ)に恋焦がれていた同級生で高橋克実さんとかだったけど、特に須藤理彩ちゃんなんて登場シーン、ほんのちょっと。(^^;
もったいない使い方ですこと・・・。(苦笑)
あと、美可子(清水美砂)と付き合ってた滝川さんが狭心症で運ばれたり(やっぱ、美可子と関係をもつと・・・という噂は本当?(^^;)、そんな美可子が今度は刑事の風間さんの家で間借りしてたり・・・。
美可子絡みの話は終盤どんどん面白くなってたし、もうちょっと見ていたかった気もするなぁ。

中盤はちょっとぐだぐだな感じがしたけど、最後の父と息子の雪解けは「優しい時間」というタイトルにぴったりな雰囲気で良かったと思う。
ゲストの使い方は豪華といえば豪華だけど、無駄といえば無駄にも思える部分が多くて・・・全体的にはまぁまぁって感じでしょうか(^^ゞ。

 

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO