彼女が死んじゃった。

原作:一色伸幸・おかざき真里
チーフプロデューサー:梅原幹
P:田中芳樹

主題歌:TOKIO ♪ドランジスタG(グラマー)ガール

第1回
脚本:一色伸幸
演出:佐藤東弥

不思議な感じのするドラマでした。
余計な説明は一切なしって感じで、淡々と起きた出来事を並べただけのような展開で、突然ゆかり(木村佳乃)が死んじゃって・・・。

ハジメ(長瀬智也)とゆかりの出会いも突然なら、この二人が一夜を共にするのも「そんなん、あり?」って感じで、ゆかりがハジメの携帯に登録したはずの電話番号はデリートされちゃったのかなくなってるし・・・。
何がどうなってるんだか、さっぱりわからないうちに、ゆかりの自殺でしょ?
いや、これも自殺だと思ってたら、ラストでゆかりを殺したと自首したミナミカオリ(高岡早紀)が出てくるし・・・。
え?自殺じゃなくて他殺なの?

ハジメはゆかりのことが気になってたみたいだけど、携帯に番号が残ってなくて連絡が取れない。
そうこうしているうちに、ゆかりの妹・玲子(深田恭子)と、ゆかりの婚約者・良夫(香川照之)がハジメを訪ねて来て、彼女が死んだ事を知る。
良夫がゆかりの自殺の原因を突き止めようと、彼女の残した携帯電話にメモリーされた196人を訪ねると言い出し、玲子とハジメも同行することに・・・。

しかし、妹の玲子の携帯には6件のメモリーしかないのに対して、ゆかりは196人か・・・。
姉妹でも凄く雰囲気が違うし、玲子はゆかりの事をあまり良くは思ってなかったみたいだし、この二人の関係も次第に見えてくるのかな?

携帯のメモリーを追いかけて、死んだ人の通ってきた道のりを辿っていくというのは、なかなか興味深い。
何故、ゆかりは屋上のあんな危ないところで踊っていたのか、何故金魚の入った入れ物を持ってベランダで涙を流していたのか、何故金魚をハジメに託したのか・・・。
ゆかりという人物が謎に包まれたまま亡くなっていて、そこへどうやってハジメたちが近付いていくのかが気になるわ。
次回が楽しみ!

第2回
脚本:一色伸幸
演出:佐藤東弥

ゆかり(木村佳乃)を殺したと自首してきた香織里(高岡早紀)には、アリバイがありゆかりを殺す事は不可能だった。
というわけで、やはりゆかりは自殺らしい。
ゆかりと香織里は同じ時期に会社を退職したが、できちゃった結婚で会社を辞め専業主婦になった香織里と、会社を辞めた後自分の興味のある事に向って次々と方向性を変えながら自由に突き進むゆかりという風に、お互いの生活は全く違っていた。
メール交換を続けていたが、ゆかりの自由な生き方にメールで触れる度、香織里は自分の単調な生活がつまらなく思えてきて、ゆかりからのメールを読まずに削除するようになった。
自分が返信していたら、ゆかりは自殺しなかったんじゃないか・・・と、後悔する香織里。

なんだかね〜、このメールに関するエピは、しみじみ考えるものがあった。
お互いに相手が羨ましかったのかもしれないなぁ・・・なんて。
ゆかりは幸せそうな香織里が、香織里は自由で気ままなゆかりが・・・たぶん羨ましかったんだろう。
だから、ほんのちょっとだけ、自分は幸せだ、自分は自由だというところを、オーバーに書き綴っていたのかもしれない。
女って、そういうところまで見栄っ張りだから。

そして携帯めぐりは、拘置所の高丸(柳沢慎吾)へ・・・。
高丸とゆかりの巡り会いというのも、ありえないけど面白いエピソードだったね。
高丸がピッキングでゆかりの部屋に侵入し、刃物で脅そうとしたら、逆にゆかりがカッターを手首に当てて、「今、死のうとしてたの。」と・・・。
んで、高丸に「刺すの!あなたが刺すの!」と刃物を持つ高丸に自分から近寄って来て、もみ合ってるところに警官が入ってきて、ゆかりの方に手錠がかけられて・・・。
ゆかりは本当に死のうとしていたんじゃなく、咄嗟に近くにあったカッターを隠し持ったのだとか、その後拘置所の高丸に会いに来て「二度とするな」と言いに来たとか。
ゆかりって人が魅力的に見えるね〜。
彼女の人生はこのドラマの中で、まだ断片的にしか出てこないんだけど、どの部分もゆかりらしい風変わりなエピソードで、そこに魅力を感じてしまう。
決して人と同じようなありふれた生活はしていない。
だからこそ、まだまだ謎が多いゆかりの人生。

そこらへんは良かったんだけど、香織里が捨てた結婚指輪をゴミあさって探すという話は、どうなんだろう?
ゴミの中から出てこなかった指輪が、ごとごとと物置が揺れた瞬間に転がってくるというので、ゆかりが指輪を運んできたんだよと言いたかったんだろうけど・・・。
ゆかりが自殺した原因が、自分がメールの返事を返さなかったことにあるかもしれないと思っている香織里が、あの指輪が出て来た事でゆかりに許してもらったような気分になったのかな?
「その生活を大事にするんだよ」と、教えられた気がしたのかも・・・。

香織里に指輪が戻った事で、ハジメ(長瀬智也)はゆかりが自分に金魚を託した理由を、ふと考える。
もしかしたら、ゆかりは携帯にメモリーされた人たち全員に、何かしら渡しているのかなぁ?
香織里が指輪で立ち直ったように、ハジメも最後はあの金魚に救われるのかしら?

第3回
脚本:一色伸幸
演出:吉野洋

今回は豆知識さんこと、吉川(香川照之)がせつなかったね〜。
携帯巡りで、豆知識さんは糸山通(相島一之)という男性に会いに行く。
糸山は怪しげな自己開発セミナーを主宰してるんだけど、そのセミナーに半年前からゆかりが通っていたと聞かされる。
そして、その糸山に「(ゆかりが)あなたを大事に思っていたなら、何かを残したはず。」と言われ、何も残されてない事で豆知識さんは哀しくなっちゃうんだよね。
糸山の言う事が本当だとしたら、金魚を残されたハジメ(長瀬智也)はやはりゆかりに大事に思われたということになるんだろうか・・・。

もう一人、携帯巡りの旅で出会ったのが、いかがわしい店で働く風俗嬢の伊藤サチ(本上まなみ)。
5年前にゆかりと同じキャバクラで働いていたというサチは、一切の係わりを絶ってたった一人風俗嬢として働いてきたけれど、ゆかりの携帯に自分の名前が残されていた事で、自分は一人じゃなかったと、ちょっと救われた気になったのかな?
そこで玲子(深田恭子)が言った、「姉は強盗殺人です。」って言葉が気になるわね。
ゆかりに恋人でも取られたのかしら?
「一昨年のクリスマスに・・・」と言いかけたところで先がわからなかったけど、きっと玲子とゆかりの間に大きな事件が起こったんだろうね。

んで、豆知識さんのせつなさがたまらなかった後半部分。
ゆかりとの11年間って何だったんだろう?
7年前には逃げた男の代わりにゆかりの堕胎にまで付き合った豆知識さん。
その時にゆかりと手を繋いだのが最初で最後なんて、豆知識さんせつなすぎる〜。
ゆかりがハジメと出会った翌日に作ったキムチ雑炊が、まるでその後豆知識さんとハジメが出会うのがわかっていたかのように、冷凍保存してあったのも運命を感じる出来事だったなぁ。
ハジメは多過ぎたから冷凍してたって言ってたけど、もしも残りを捨てていたら豆知識さんが、ゆかりを感じることって出来なかったわけだし・・・。
「本当にゆかりを思う奴が食えばいい!それが供養ってもんだろ。」というハジメの台詞には、妙に納得させられたよ。
「死ぬ気になれば僕とも付き合えた」と泣きながら話す豆知識さんに、ちょっと(ToT)ウルウルしちゃった・・・。
あと、豆知識さんの「人間の体は原価だと5000円」って話も、「へ〜ぇ」だった。

相変わらずゆかりがどういう人物で、何を思って死んでいったのかはわからない。
だけど、この携帯巡りの旅をする事で、ハジメも玲子も豆知識さんも本当の自分と向き合えるようになるんじゃないかしら?

第4回
脚本:一色伸幸
演出:猪股隆一

とりあえず2回見たんだけど、深いよね。
見るたびに「あ、そういうことか?」「いや、こうも考えられる」と、印象が違って来ちゃったりするんだけど、またそれが楽しい。
豆知識さん(香川照之)の「日本の自殺率は、世界で3位」というのも「へ〜ぇ」だった。
夜中の2時に自転車を欲しがって無理矢理自転車屋の井上(石倉三郎)を起こし、自転車買ったゆかり(木村佳乃)の気持ち。
簡単には手に入らないものの代わりとして、欲しかったのが夜中の2時の自転車。
明確にはわからないけど、何となく、本当にほんのちょっとだけゆかりの気持ちに近づけたような気がするエピソードだったなぁ。

その自転車がきっかけで、ゆかりが作った「三浦半島ヤッホー倶楽部」というサイクリング集団。
そのメンバーだったリョウ(チューヤン)とゆかりの3時間が、リョウが最後にかけてきた電話の中で明らかになった。
もちろんリョウがゆかりに電話したつもりなんだけど、実際に電話に出たのは玲子(深田恭子)で、最初はゆかりの自殺を伝えるつもりだったのに結局ゆかりのふりをすることになって・・・。
ホームシックのふりをして、ゆかりにつけ込もうと思ったリョウは、逆にゆかりに励まされてしまったのね。
夜の海へのサイクリング、そして真っ暗な景色もない海で、目を閉じるとそこに広がるのは自分の思い出の場所。
リョウが暮らした故郷の村、そこで待ってるみんなの顔・・・リョウがホームシックだと聞いて、ゆかりはホームシックを忘れさせるんじゃなく、そこに待ってる人がいるんだという事を再認識させる事で寂しい気持ちを解消させようとしたのかな?
「夜の海はどこでもドアだ」は、結構いい台詞だったように思います。
そして「目から汁が出た」もね。(笑)
「目から・・・目から・・・目から・・・」とリョウが言う所で、「『汗が出た』とか言うなよ!」とヒヤヒヤしてたんだけど、さすがにそんなくさい台詞じゃなくて「汁」とは・・・読めませんでした。(^^;ゞ
「汁」という言葉の響き自体は決していいものじゃないんだけど、リョウが日本で暮らす外国人という設定だからこそ、「汁」でよかったんだと思う。
それにあわせて玲子が「私も汁出てるよ」と返したのも、何だかよかった。

ゆかりがリョウとHしたわけじゃなかったって事で、一昨年のクリスマスに玲子の先輩がゆかりと・・・というのも、もしかしたら玲子の勘違いかもしれないと思っちゃったなぁ。
ゆかりは玲子に「ごめんなさい」って謝ってたけど、それは誤解させてごめんなさいなのかもしれない。
というか、そう思いたい!

ハジメ(長瀬智也)が豆知識さんからもらった貝を、玲子に「ゆかりが君のために拾った貝だ」ってプレゼントしたり、強引にキスしたりしたのは「え?」って感じだったけど、玲子を抱きしめつつ( ̄ー ̄)ニヤリッって顔を見せるのが、いかにもハジメらしくていい感じではあったかな?
あと、豆知識さんがボーリングでストライク出して、「ゆかりの理由がわかった!」と叫んだのも気になる。
何がわかったんだろう・・・。

第5回
脚本:一色伸幸
演出:佐藤東弥

先週、ハジメ(長瀬智也)が玲子(深田恭子)に「ゆかり(木村佳乃)が拾った貝」として渡した貝殻・・・あっさり豆知識さん(香川照之)が拾ったものだとバレちゃったね。
たぶん、嘘をついてもこうやってあっさりバレる事で、ハジメというちゃらんぽらんな男がさほどワルに思えないんだと思う。
今回はゆかりの携帯にはメモリーされてないコンビニ店員の松ノ木(小山慶一郎)と、ゆかりの携帯へ電話して来た渡部(岡田浩暉)が登場。
特に渡部とハジメが過去にヒップホップのバンドで組んでいたり、「ゆかり兄弟」だったりするのが不思議な繋がりで面白かった。
普通、こうやってドラマの中で簡単に人と人が繋がっていくと、「世間が狭い」だの「いかにもドラマだ」だの言われるところなんだけど、今回の繋がり方は違和感を感じなかった。
それどころか、豆知識さんも言ってたように、ハジメと渡部の再会はゆかりが二人を会わせた様でもあったよね。
5日前にゆかりから渡部に届いたという手紙・・・中身は詞が一枚。
その詞に曲をつけて、ライブで最初に歌って聴かせる渡部。
タイトルの「555」はハジメと過ごした中で、ゆかりが携帯の時計を見て「5:55」と5が揃ったのに感動し、「こういうのって特別な時間だよね」と言ったところから来ている。
そして渡部が歌い上げる詞の内容が・・・もうハジメと出会って一晩過ごした、あの日そのものなんだもの。
ゆかりにとって、あの一夜は遊びじゃなかった。
何をしても達成感の得られなかったゆかりが、街で出会ったハジメに自分を重ねて、ハジメを抱きしめる事で自分も成長できるかも・・・と歌った内容。
松ノ木が渡したコンビニの防犯カメラに映ったゆかりの1年も、何だかせつなかった。
夜のコンビニで他の客に声をかけ、すぐに仲良くなって打ち解けているゆかりの姿。
彼女はそうやって何を求めていたんだろう?
ハジメのような、自分を重ねられる人物を求めていたのかな?
防犯カメラのゆかりの映像を見ながら、流れてくる渡部の歌声を聴いていると、きゅん♪としちゃったな。

初七日までは大切な人の側にいる・・・って、ハジメがゆかりの姿を見たと思ったのが、実は鏡に映った自分だったというシーンは良かった。
日々もがいていたゆかりは、ハジメそのもの。
いい加減に生きてるようで実は悩んでいたのも、きっと同じ・・・。
そのことにハジメが気付いて、これから彼の生き方が変わっていくかもしれないわね。

第6回
脚本:一色伸幸
演出:南雲聖一

今回も胸がきゅんとするような、せつなさがありました。
このドラマをどう表現すればいいのか、とっても悩むんだけど、言葉にはできない何かがあるんだよね。
冒頭からオカマのももえ(陣内孝則)というとんでもないキャラに驚いちゃったけど、何気にこの人が言った「プライドを捨てられるのもプライドなのよ・・・プロならね。」という台詞が印象に残った。
「プライドを捨てられるのもプライド」という言葉・・・今回の展開にぴったりだったような・・・見終わってそんな気がしたな。
ももえ曰く、ゆかり(木村佳乃)は気持ちのアップダウンが激しかったとか・・・。
いつも明るく、わけもなくはしゃいでるイメージがあったから、そうやって誰かに見せてたゆかりの素顔みたいなものが垣間見えると、それだけで彼女の印象が変わってしまうんだよね。
それほどまでに、私達が知るゆかりという女性は曖昧なんだよなぁ。
ももえさんにキスされちゃう豆知識さん(香川照之)も衝撃的!
「口吸い」って表現もどうなんだか・・・。(^。^;)

そしてハジメに舞い込んだミュージカルの主役の話。
ところが実際には主役のアイドルのリハーサルの代役。
辛いよね・・・こういうの。

ゆかりがひと目でその仕事に惚れ、強引に弟子入りを迫った照明プランナーの入江ミカ(戸田恵子)。
採用のための最終試験で江ノ電をライトアップしたゆかり。
アジアにこだわり、蛍光灯にセロファンを巻いて使いたがった彼女に、最終試験では蛍光灯の使用が禁じられた。
今でも走っているゆかりの最後の仕事を見に行ったハジメたち。
だけど、実際に目にした江ノ電は、お世辞にも効果的なライトアップがされてるとは言えなくて、豆知識さんなんて「こんなのゆかりじゃない!」って車にみんなを乗せて走り去ろうとしちゃうんだよね。
豆知識さんの中のゆかりは、いつもキラキラしてて誰よりも目立つ存在で、あんなショボい装飾の江ノ電にゆかりを重ねるなんて出来なかったんだろう。
もしも、あれがゆかりの最後の仕事だとしたら、その時のゆかりは全くキラキラもしてなくてショボい女だったような気がして、それが豆知識さんには耐えられなかったのかもしれない。
でも、誰よりもゆかりを愛した人だからこそ、天井にゆかりが残した蛍光灯の文字に気付いたのかもしれないなぁ。
禁じられた蛍光灯、しかもいろんな色で作り出した「ETERNITY」の文字。
「永遠・・・」
何が永遠だったのか・・・。
好きな蛍光灯を使うなと言われても、自分の想いは閉じ込められなかった。
だから、あえて人目には触れないけど、大空に向っての「ETERNITY」の文字だったのかな。
人に認めてもらえなくても、自分の意思は永遠で誰にも邪魔できない。
もしかすると、あの場所のライトは自分をわかってくれる人だけが気付いてくれればいいという想いもあったのかもしれない。
誰かに見つけてほしかった・・・ゆかりは・・・自分を・・・。
と、勝手に推測しては勝手にせつなくなってる私。(おめでたい)

ハジメはミュージカルの話を断わったけど、自分をとんち体操のお兄さんだと知って、どこまでも追いかけてくる子供達の前で、とんち体操を踊って見せたよね。
ミュージカルの話を断わったのも、とんち体操をやってみせたのも、「プライドを捨てられるのもプライド」という言葉にかかっていたような気がする。
いやぁ、素晴らしく深い。(^。^;)フウ

そして・・・今週も金魚ちゃんが一匹お亡くなりに・・。(・・,)グスン
一匹ずつ死んで行く金魚にも、きっと何か意味があるんでしょう。
可哀想だけど、ゆかりが託した金魚がすべて死んでしまった時、ハジメはゆかりの死んだ理由に気付くとか・・・。
先週めちゃめちゃ泣けちゃった「555」の歌ですが、今週もちょろっと流れただけで泣けてしまいました。
このドラマ、音楽がとても良いです♪
珍しくサントラが欲しいと思ってしまったわ。

第7回
脚本:一色伸幸
演出:猪股隆一

OPが変わった!
TOKIOのメンバーが、そこかしこにいて、見入ってしまうOPだったなぁ。

んで、豆知識さん(香川照之)の親方として包丁持って現れたのが、なぎら健壱でビックリ!
「ゆかり(木村佳乃)が死んだんですよ。」「こっちはネタが死んじまうんだよ!」というやり取りは、くすっと笑ってしまったけど、ドラマの内容は徐々に重くなってきたような・・・。
いや、重いんだけど、重過ぎないようにしてるのが、何とも絶妙なんだけどね。
つかめそうでつかめないストーリーや、近付きそうで近づけないゆかりの自殺の理由・・・。
そういうところに、このドラマの面白みがあるんだと思う。

携帯めぐりをして出会う人から次々と出てくるゆかりのエピソードが、実にゆかりらしくて納得できちゃうんだよね。
出会う人、出会う人に元気を与えて来たように見えるゆかりが、何故、豆知識さんや玲子(深田恭子)やハジメ(長瀬智也)には、こんなに重い気持ちを植えつけて去ってしまったんだろう?
ゆかりを辿れば辿るほど、3人が考え込んでいくのがせつないんだよね。
まさにハジメが言ってた「ゆかりは鏡」って言葉が適当な表現なのかもしれない。
ゆかりの死と自分が生きていることを、照らし合わせて考えてしまうのかもしれないよね。

歌川繭(遠藤久美子)が好きなぐんま君(須賀貴匡)と、繭のふりをしてメール交換をしたゆかり。
デートの約束を取り付けて、そこに繭を送り出したゆかり。
だけど、実はぐんま君にゆかりは好意を抱いていたっていうんでしょ?
メールをしているのが繭ではなく、自分なんだと気付いてほしかった?
そうやって、ゆかりは誰かに自分を見つけて欲しかったんだよね・・・いつも。
何だかせつないなぁ・・・。(・・,)グスン
ゆかりが「死ぬほど退屈でつまらない奴」のためにアクササリーを作っていたというのが、てっきり豆知識さんだと思ったら、実は玲子で・・・というのもビックリ。
それを知って、また自分ではなかったと落ち込む豆知識さんを見ているのも、胸が痛んだよ。

江成博士とのゆかりの試作品、ホロコムだっけ?
あの中に浮かび上がるゆかりの映像が、また何ともはかなくて、せつなくて・・・。
「どう?生きてるみたいでしょう?」や「この私は永遠です」って言葉が、泣けちゃうんだよね。

ゆかりの携帯をハジメが持って行っちゃったのが、今後何かの転機になるかな?
ゆかりの携帯からハジメが自分の番号を鳴らしてみれば・・・見えてくるものがあるはずだよね。

第8回
脚本:一色伸幸
演出:佐藤東弥

携帯めぐりも今日で最後と決めた日。
最後の一日にハジメ(長瀬智也)たちが出会った人たちの中のゆかり(木村佳乃)は、今までのゆかりと違って暗いイメージだったなぁ。
キャッチの兄弟(工藤兄弟)からは、ゆかりが自殺した事に対して「ざまぁ見ろ!あのクソ女!」って吐き捨てられて・・・。
何でも50万の契約して、クーリングオフまでの1週間に強気で食事や酒につき合わせて、1週間ぎりぎりのところでクーリングオフ!
寂しさを紛らわすためにキャッチを利用したみたいに言われてたけど、いやぁ言葉が出ないよ。

二番目の小栗(きたろう)はミラノで和食屋を開いていた時に、留学中のゆかりがバイトに来て知り合った。
2年も留学しているのにイタリア語も大して喋れない。
小栗には夢から逃亡し、最後にはこの世からも逃げたと言われているゆかり。

今までの携帯めぐりでは、ゆかりは必ず人に勇気や元気を与えてきた。
めちゃくちゃな生き方ではあったけど、どちらかといえば明るいイメージだった。
でも、そのゆかりの明るさの裏では、同じ日にいくつもの病院を回り、眠剤を多量に手に入れなくてはならなかった姿が・・・。
あれもゆかり、そしてこれもゆかり。

そして決定的だったのは三人目の勝股(橋本さとし)。
ゆかりとは不倫の関係だったという勝股は、ゆかりにルールを破られたと主張。
週に一度だけ会って、連絡はメールだけ。
なのにゆかりは妻への無言電話や、5分おきのメールと、どんどんルールを破って近付いてきた。
怖くなったと勝股。
勝股という男は嫌な奴だった。
ゆかりが自殺した事を知った後も、ハジメたちに「上ダマだった」とゆかりとベッドにいる写真を笑って見せるような男。
本当に嫌な奴。
でも、ゆかりが怖くなったという勝股の気持ちはわかるような気がする。
良い、悪いは別として、人を想う気持ちはバランスが取れてこそ成り立つものだと思うんだけど、明らかに勝股とゆかりのバランスは最初から崩れてるんだもの。
こんな男にそこまで固執したゆかりが逆に悲しいよ。
勝股みたいな男にそこまで依存しなくてはならなかったなんて・・・。

ここまで見てきて、つくづくバランスって大事だと思った。
自分の中でのバランス、そして人とのバランス・・・。
それをうまく調整しながら生きていく。
崩れても立て直す力が必要。

勝股の携帯からゆかりの画像やメールを削除したハジメ。
それぐらいしかゆかりにはしてやれない。
いろんな人が、自分がゆかりに優しくしてやれていたらと悔やんでみるけど、いくら悔やんだところでゆかりは戻ってこない。
だけど、だけど・・・原因はどうであれ、自殺はどうかな?
やっぱ、私はゆかりの生き方に同情も共感もできないかもしれない。

ゆかりの携帯の電池がなくなっていく瞬間が、本当にゆかりの死を感じた瞬間だった。
携帯めぐりをしながら、ゆかりを知る人と出会う事で、ハジメたちは知らないゆかりに出会ってきた。
そうやって出会ってるうちは、ゆかりはどこかで生きている感覚だったんだと思うなぁ。
携帯の電池とともに尽きる命・・・それって儚いけど、悲しすぎないかい?

ハジメの携帯にゆかりが登録したのは、やはり「555」だったね。
でも、そのことにハジメが気付いた時には、ゆかりはいない。
ゆかりの自宅にかかった電話、留守番電話のメッセージ・・・。
「私を探して。見つけて。」というあの日の台詞が、悲しく思い出された瞬間だったわ。
そして「必ずまた会えるよ」という台詞が、留守電のメッセージとの出会いなんて・・・。
ゆかりはいつも自分を探して欲しかった、見つけて欲しかった。
だけど、最後まで誰もゆかりを探してあげられなかった。
死んだ後に探してもらったこと、ゆかりは嬉しく思っているんだろうか?
なんか・・・やっぱズルイと思う。
理解はできなくはないけど、好きにはなれない。
そういう複雑な心境になってしまったよ。

深く「生き方」というものについて考えたんだけど、いよいよ来週が最終回。
たぶん、最終回を見ても受け止め方は千差万別なんじゃないかと思う。
ゆかりがどうして死んでしまったのかより、突然、死を選んだ人の人生に接する事でそれぞれが自分の行き方を見つめ直す・・・そこを重視すべきなんだろうなぁ。
生きることって難しい。
だけど、生きてなくちゃ・・・と強く思った。

最後の「俺はいつも大切なものに遅刻する」というハジメの声。
何とも深くて重い一言だった。

最終回
脚本:一色伸幸
演出:猪股隆一

最終回が一番「行間」を感じる仕上がりだった。
視聴者に託す部分が多いんだけど、普段なら「そこんとこ、どうなのよ!はっきりさせてよ!」と言いたくなるのに、不思議とこのドラマの場合は託された部分を真剣に考えたくなる。
ゆかり(木村佳乃)に託された金魚の意味を考えるハジメ(長瀬智也)のように・・・。

人の気持ちがいろんな方向に流れていて、その中の「届かぬ想い」的な部分がせつなかった。
二年前からハジメを好きだった八千代(赤坂七恵)。
ゆかりの部屋に玲子(深田恭子)がいるとも知らず、留守電にゆかりへのメッセージをふきこむハジメ。
「もっと話したかったよ。もっと一緒にいたかったよ。俺は、あなたが・・・好きです。」というハジメのゆかりへの届かぬ伝言、そしてそれを聞いて涙する玲子。
勇気を出して自転車でハジメのところへ向い、例の歯ブラシを燃やした後のハジメに「新しい1本、次の1本、私じゃダメですか?」と聞いたのに、「寒さを寒さで埋めちゃいけない」と受け入れてもらえなかった玲子。
どんなに人を想っても、届かぬ想い、気付いてさえもらえない想いがある。
その想いに傷つき、悲しみ、打ちひしがれても・・・生きていく私たち。
最終回で豆知識さん(香川照之)が披露してくれた「四苦八苦」に関する豆知識は、すこーーーんと胸の中に落ちてきた。
四苦八苦、4×9(四苦)=36、8×9(八苦)=72、その二つを合わせると36+72=108。
108は煩悩の数。
人が人である限り、人は四苦八苦です!という豆知識さんの言葉には納得させられちゃったなぁ。
四苦八苦という言葉を聞くたびに、豆知識さんの豆知識を思い出しそう。(^^;ゞ
その豆知識さん、あわや自殺かとヒヤヒヤしたけど、そうじゃなくて良かったよ。(^。^;)ホッ!

結局ゆかりの自殺の原因はわからないままだったけど、ゆかりと接した196人がいれば196通りの答えがあるというところに行き着いたのには納得。
ゆかりが死んだ理由は、結局のところゆかり本人しかわからない。
それを周囲の人間があーだこーだと推測したところで、それはその人が思う中での自殺の理由に過ぎない。
それにどんなに携帯めぐりをしても、どんなにゆかりの足跡をたどっても、ゆかりが死んだ事実は変わらない。
ハジメに託された金魚の意味が、「えさをあげて」ですなわちそれは「明日もその次も生きて」だったというのは泣ける話ではあったけど、そこでゆかり自身に「この金魚にえさをあげなきゃ」という気持ちが働いてくれたら・・・と悲しくもなった。
ハジメたち3人がたどり着いたのは、「どんなに痛くても楽しい」という生きることの難しさと楽しさ。
誰もが生きる中で痛みを知り、誰もが楽しみを見出す。
今日は痛い一日でも明日は楽しい一日かもしれない・・・頑張ろうって気持ちになる。
玲子の「生きてるだけで勝ちなんだよ」という台詞も、そうかもなぁ・・・と思った。
まず「生きている」って事が前提で、そこからいろんな道が開けるんだもん。
「どんなに痛くても楽しい」・・・このドラマを表すとすれば、この台詞が一番だろうな。

ゆかりが死ぬ前に買っていた宝くじが100万円に当選していた。
死ぬ前に100万当たった事がわかっていたら、生きる中での「楽しい」部分が感じられただろうに・・・。
「ゆかりは遅刻した」というハジメの言葉が、とっても心に響いてきました。
100万円は光るものが好きだったゆかりのために、花火に変えて夜空に消えていったのね。
しかし、ハジメったら「昔バイトしてて免許持ってる」って何の話だ?と思ったら、花火師(っていうんですか?)の免許だったんですか?(^^;
一生懸命花火を打ち上げるハジメも、打ち上がった花火を見ながら「死ぬ気になれば僕とだって・・・」と泣く豆知識さんも、「お姉ちゃんのバカー!」と叫ぶ玲子も、みんな痛さを感じながらも生きている。

1年後にちゃんと金魚が生きていて、ハジメも玲子も豆知識さんもそれぞれの人生を生きているのが良かった。
「ここじゃ星は地べたで光る」というハジメの台詞は、生きている一人一人が星という意味なのかな?
考えれば考えるほど深くて、どれだけ考えても答えが出ない。
でも、その答えが簡単に出ないところに「生きる」という事を感じたような気がする。
私はこのドラマ、好きでした。

 

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