ドラマスペシャル
TEAM4

企画:石原隆
P:関口静夫
脚本:君塚良一
演出:河野圭太

少年犯罪、虐待・・・まさに現代社会を切り取ったかのような内容だった。
親の愛を受けずに育った栄太(内博貴)が起こした殺人事件。
次第にその背景がわかってくると、何とも辛い気持ちになったよ。
3歳で母親(山下容莉枝)に連れられて、父親(浅野和之)の元を離れた栄太。
母親とも7歳で別れ、預けられた親戚の家も小学校卒業後には出て行ってしまう。
その転々とした生活の中で、どこへ行っても「虐待」がついてまわったなんて・・・。
つくづく「しつけ」って便利な言葉だな・・・と思った。
「しつけ」「教育」そういう言葉でごまかして、大人は子供を自分の感情の捌け口にしてないだろうか?
ストレスだらけの日常、時間に追われる生活、ゆとりのない毎日の中で、知らず知らずにあたってしまうのは、やはり自分より弱い存在の子供だったりするのかも・・・。
そうじゃないと言いたいけど、絶対にないとは言い切れない。
そして、それが限度を越えると「虐待」以外の何ものでもなくなってしまう。

怖かったのは「暴力の連鎖」。
これもよく言われることだけど、過去に暴力を受けた人は我が子にも暴力をふるう。
誰かにいじめられた人は、自分より弱い者をさらにいじめる。
栄太に暴力をふるっていた新しい父親も、過去に親からの暴力を受けていた。
栄太が引取られた親戚の家の子供も、サッカーのコーチに度々暴力を受けていた。
暴力を受けた者は悲しい。暴力を受けた者は傷つく。暴力を受けた者は悔しい。
そういう気持ちを晴らすために、彼らは自分より弱い者に同じ仕打ちをする。
なんて悲しい連鎖なんだろう。
自分が暴力を受けたのは自分が悪かったから・・・だから悪い人を見つけたら殴ってもいい。
そんな方程式は成り立たないのに、自分の中でそう納得させなければ生きていくことすら困難だったのかもしれないね。

栄太が殺人事件を起こしたのも、公園で被害者に「金くれる?」と言ったら「ふざけるな!」と言われ去って行ったその背中が、かつて自分を親戚の家に置いて帰る時の母親の背中に見えたからって、そこだけ聞けば短絡的な犯行。
でも、栄太の過去にあった事を知ってからだと、この短絡的な犯行を悲しまずにはいられないのよ。
自分が虐待されている時の記憶が曖昧なのは、そうしなければ耐えられなかったからだと淡々と話す栄太に、そしてそんな虐待を受けている自分を見て見ぬふりした母親をずっと愛している栄太に涙が出た。
「今、お母さんに会ったら何してもらいたい?」という問いかけに、嬉しそうに「そうだなぁ、抱っこしてもらいたい」と答えたのが忘れられない。
この少年の心は全く成長していない。
いつも誰かに殴られ、熱湯をかけられ、ライターの火を押し付けられ・・・そんな生い立ちで、心が正しく育つわけがない。
無性に腹が立った。栄太の母親に腹が立った。
こんなに酷い人生を歩むしかなかった栄太が、それでも母親だけはずっと愛していたというのに、「今の生活が大事」って何だよ!
せめて最後に栄太を抱いてやりたいぐらい言って欲しかった。
そこから彼の心の成長が、もう一度始まるように・・・。
風見(草g剛)が最後に母親に怒りをぶつけてくれてよかったよ。
ドラマの中の風見に自分の怒りを重ねる事で、少しだけ気が楽になったような気がする。

人を抱きしめたり、キスしたりするのは、決して映画やドラマの中でやってるからじゃなく、相手を愛しいと思うからそうするんだって事・・・それぐらいは子供に教えてやれる親でいたいと思った。
っつーか、わざわざ教える事じゃなく、そういうのが自然と伝わる家庭環境じゃなきゃね。
あ〜、何だかやりきれないよ。
でも、このやりきれなさがリアリティだったりするんだろうなぁ。

 

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