僕の生きる道

P:重松圭一・岩田祐二

主題歌:SMAP ♪世界にひとつだけの花

第1回
「告知、余命一年」
脚本:橋部敦子
演出:星護

28歳で余命1年と宣告された男の話。
かなり興味のあるテーマだったんだけど、初回のテンポはまったりしたものだった。
しかし、本当に自分が余命1年と宣告されたら、時の流れなど止まってしまったかのように感じるのかもしれない。
そう思えば、このまったりした雰囲気は納得できなくもない。

進学校で生物学を教える秀雄(草g剛)が、健康診断で再検査を受け、その結果がスキルス胃がんで余命1年。
今まで無難な道を選んできた秀雄が、自分の寿命を知り、思い悩むわけだけど、そんな時にふと見た昔の文集。
そこには昔の自分が書いた「後悔のない人生を生きる」という文字。
それを見て、「あの頃、思い描いた人生を生きて来なかった。28年間も生きてきたのに・・・。」と秀雄が後悔するシーンは、なかなか考えさせられてしまった。
小さい頃に思い描いた将来の夢を、その通りに叶える人はそういないとしても、夢を叶える努力をしただろうか?
つい楽な方を選んで生きて来なかったか?
心の中がちくっと痛い瞬間だった。

ってなわけで、秀雄はこの1年をどう生きるのか?
これは自分が秀雄だったら・・・と置き換えて、深く考えてみるのもいいかもしれない。

第2回
「読まなかった本」
脚本:橋部敦子
演出:星護

「何の痛みも感じないまま楽にしてください。」
秀雄(草g剛)が主治医の金田(小日向文世)に頼む。
余命一年・・・突然言い渡されたら、自分を見失う気持ちもわかるよ。
お金を貯めても仕方ないって思うし、パーっと使っちゃおうかな・・・ってね。
でも何をしても空しくて、ついに海岸の絶壁で飛び降り自殺を図ってしまう。
それでも助かっちゃうんだよね。
「僕は自分で死ぬ事も出来ないんですか?」
あぁ、自暴自棄になってる秀雄の正直な気持ちかもしれない。
どうせ死ぬなら自分の意思で死にたいとでも思ったんだろうか?
でも金田先生がビシッと言ってくれたよね。
「君に死ぬ権利なんかない!僕には君の残りの人生を支える義務がある。」

入院している秀雄に、みどり(矢田亜希子)が届けてくれた一冊の本。
それは秀雄が読もうと思って買ったのに、いまだに読めていない本だったんだけど、その本が秀雄の気持ちに変化をもたらしたのは明らか。
生徒たちの前で他人の事の様に話してたけど、「この本を読む時間がなかったのではなく、読もうという気がなかった」という事に気付いたおかげで、残された一年をちょっと前向きに過ごせそうじゃない?
「一年しかないと何もしない人は、5年経っても10年経っても何もしない。」
何となく耳の痛い言葉だったわね。(^^;ゞ
時間がない、時間がないとあれもこれもやらずに通り過ぎて来たけど、それはやる気がなかっただけ・・・。

私の父親は自分の余命を知らされる間もなく、気付いたら意識を失って4日ほどでご臨終だったんだけど、意識を失う前の日にきちんと翌日の仕事の資料を机の上に揃えていたのが印象的だった。
死ぬなんて思ってなかった。だから翌日の準備もしていた。
そんな人間でも明日はわからない。
だから今日できる事は今日やろう。明日はまた明日でなきゃ出来ない事のための一日。
父が死んだ時にそう思ったはずなのに、いつの間にか忘れてるよ。>自分(^。^;)

秀雄が病院の公衆電話から母親に電話をするシーンが良かった。
「母さん、僕が生まれた時どう思った?」という秀雄の問いかけに、お母さんが「やっと会えたね。この子のためなら自分の命も捨てられると思った。」と答えたのを聞き、思わず涙がこみ上げる。
そして電話を切った後、堪えきれずに声をあげて泣くというシーン。
ちょっと(ToT)ウルウルしちゃったよ。
母親が命だって捨てられると思ったぐらいの自分の命・・・簡単には捨てられないでしょう。
これから秀雄がどれだけ前向きな一年を過ごしてくれるのか、それに期待したいね。

第3回
「封印された恋心」
脚本:橋部敦子
演出:佐藤祐市

秀雄(草g剛)が始めたビデオ日記(だっけ?)。
あれを見てると、「アルジャーノンに花束を」の「経過報告」を思い出しちゃうよ。
自分の命が終わる日まで、秀雄は毎日自分の姿をビデオに残し、その日あった事や感じた事を自分で語って残すつもりなんだろうか?
何だかちょっとせつないなぁ。

同僚の赤井先生(菊池均也)が結婚する事になり、秀雄は自分の結婚がない事に気付く。
今、結婚しても一年足らずで相手は未亡人になる。
そんな結婚は出来ない。
あぁ、若くして余命一年の悲哀だよなぁ。
先を楽しみに生きる事が出来ないなんて・・・。
ここで「未来がないのなら、今を大切に生きよう。」
自分が余命一年と知った時、そう考えられるかは疑問だけど、本当に「今を大切に」ってーのはひしひしと感じたわ。

みどり(矢田亜希子)が結婚に望むささやかなことが「結婚しても名前で呼び合う仲の良い夫婦になること。」
ふ〜ん、私もずっとそう思ってたさ。
でもね、実際に子供が出来たとき、「お父さん、お母さん」と呼び合う夫婦になれた事を、どれだけ幸せに思ったか・・・。
ただそんなみどりと同じ事を、秀雄が赤井の結婚式のスピーチで話したから、みどりも自分と同じ感性の人を見つけたって感じで、じっと見つめてたよね。

秀雄も赤井に好意を寄せていた鈴木という生徒(浅見れいな)から、「恋はしちゃうものなんだよ」って言葉を聞いて、自分のみどりに対する想いを再認識。
「この恋を忘れようとしていたのは、余命一年だからじゃない!傷つくのが怖かっただけ。ありのままを生きよう。」
そしてみどりに突然「ずっと好きでした」と告白する秀雄。
秀雄の頭の中ではきちんと整理がついている事だろうけど、突然告白されたみどりにとっては、あまりに突然の出来事なんじゃないかしら?

正直、今回は時間長く感じちゃった。
やたら草g君一人のシーンってーのも、ちょっと重いかな?
ただここでやたら前向きに生きるとこだけ描かれても嘘っぽいから、秀雄が自分の中で行きつ戻りつしている姿には共感できるかも・・・。

第4回
「教師・失格」
脚本:橋部敦子
演出:佐藤祐市

みどり(矢田亜希子)に告白して、「僕は恋をする事が出来た」とちょっぴり喜ぶ秀雄(草g剛)。
そんな時、クラスの田岡(市原隼人)が萌(鈴木葉月)を妊娠させたと、久保(谷原章介)に相談して来た。
結局それは萌が田岡の気持ちを試すための嘘だったんだけど、自分が相手を妊娠させたかも知れない時に、「僕の将来、僕の将来」と自分のことしか頭にない田岡の言動に秀雄は苛立つ。
そしてこの機会に生徒たちに踏み込んだ性教育をしようと、資料まで作ったのにそれはあっさりと教頭に却下される。
病気のことを母親に言えないし、生徒たちに伝えたい事は言わせてもらえない。
妙なジレンマだね。

そして秀雄は田岡との面接で、ついに「君に医者になる資格なんかない」と言ってしまうわけだ。
それは命の重みを知っている秀雄だからこそ、妊娠=命の誕生と考えない田岡に「命はそんなに軽くない」と教えたかったんだろうけど、田岡は医者になる事すら金持ちになるためのステップとしか考えてないようなヤツだったもんね〜。
階段でもみ合ってるうちに田岡が落下し骨折。
当然、親が怒るわけだ!しかもここで出て来た田岡ママが銀粉蝶さんだよ!
あらら・・・NHK「緋色の記憶」繋がりでしょうか?(^^;
田岡ママの前で骨折させた事は謝っても、「医者になる資格がない」と言ったことに関して謝罪できなかった秀雄は、反対に田岡ママから「教師失格」だと言われてしまう。
「僕は間違ってない!命に関わる大切な事を指導するより、進学率を上げる教師の方が正しいのだとしたら、僕は教師を続ける気はありません!」
うぅ・・・このシーンは良かった!
草g君は決して華があるタイプじゃないんだけどね〜、こういう実直さというか生真面目さというか、真っ直ぐな役をやらせたらウマイよね。
みどり先生が「中村先生の思いは間違ってないと思います」って、わざわざ呑んでる店に言いに来てくれたのも良かったじゃん!
これが金田先生(小日向文世)が言ってた「味方してくれる最初の人」なわけよね?
みどり先生が秀雄の思うことをわかってくれるように、秀雄はみどりが砂肝をオーダーするのをわかってたわけだ。(笑)
つまり、通じ合う何かがあるってこと・・・。

命の重みを知っているからこそ、命を尊いと教えたい。
命の限りを知ってるからこそ、限られた時間を有効に使いたい。
そんな秀雄の気持ちがひしひしと伝わってきた回だった。

このドラマ、タイトルを出すタイミングが絶妙にうまい!
冒頭で「僕は誰かに寄りかかる事なく、一人で残りの人生を歩んでいく事になる。それが僕の運命だから・・・」という秀雄の台詞の後に、ババーンと「僕の生きる道」というタイトルが出るだけでズシーンと重みがあるんだよね。
あぁ・・・突っ込ませてもくれないなんて、素晴らしい!(苦笑)

第5回
「あばかれた秘密」
脚本:橋部敦子
演出:星護

今回は夢の話。
夢と言っても夜寝ている間に見る夢ではなく、胸に抱く夢ね。
みどり(矢田亜希子)に自分の子供の頃の夢(テノール歌手になる事)を話した秀雄(草g剛)。
みどりのピアノ伴奏で歌ってみせるんだけど、肝心なシーンのくせに草g君の歌声にBGMかぶせられてる。(^。^;)
やっぱ、それは歌唱力に難アリだったから?バキッ!!☆/(x_x)

田岡(市原隼人)が秀雄に突き落とされたと嘘をついてた事、あっさり理事長(大杉漣)の前で認めたね。
ちょっとあっさりでビックリだったわ。(^^;ゞ
んで秀雄からの手紙には「病気しか診ない医者にはなって欲しくない」とか「命の尊さをわかってほしい」とか書かれていたんだけど、あれだけひねくれた田岡君がこの手紙に心打たれたとは、ちょっと思えないんだけどなぁ。(^。^;)

金田医師に「味方になってくれる人が現れた」と嬉しそうに話す秀雄。
金田はその人に病気のことを打ち明けられないかと問うが、秀雄は「同情されたくない」と拒否。
そうだよね、一番同情されたくない相手かもしれないなぁ。

愛華(岩崎杏里)がアイドル雑誌に写真を掲載されて、短絡的に学校を辞めて芸能界入りを考えるのと、小学校からの歌手になりたいという夢を叶えたくて、進学はしないつもりのめぐみ(綾瀬はるか)が対象的で良かった。
写真が載っただけで自分の生き方を簡単に考えてしまう愛華は、学校を辞めると言い出してはすぐに撤回するし、そのあっさりした決断がすべて軽いものに見せてしまうんだけど、小さな頃からの夢を追いかけているめぐみは、すべてがしっかりしてるし重いんだよね。
「夢が叶うかどうかより、後悔するかしないかが大事」って秀雄の台詞もじーんと来たよ。
夢に向かって努力するというその姿勢が必要なんだよね。
わかった?>瑞穂@「いつもふたりで」
「夢は強く願えば必ず叶う」なんて言ってないで、やっぱ努力のみでしょう!

最後にみどりが「私、中村先生のこと好きですよ」と言って、自分からキスしたのは驚きでした。
ほんとに今の秀雄にとっては、みどりの存在が一番の薬だろうね。
んで、薬と言えば、秀雄が置き忘れた薬を麗子(森下愛子)が見つけて、「この薬・・・」と驚いてたけど、麗子は薬に詳しいんでしょうか?

第6回
「悲しきプロポーズ」
脚本:橋部敦子
演出:三宅喜重

いやぁ泣いた、泣いた・・・。
このドラマには間違いなく行間がある。
役者がすべてを語るわけじゃなく、説明くさい台詞やモノローグがあるわけでもないのに、その行間をきちんと感じさせて伝えてくれる。
好きだ!(告白)

みどり(矢田亜希子)とうまくいって嬉しい秀雄(草g剛)。
「神様お願いです。1分でいいから時間を止めてください。」
すでにこの心の声で泣いてしまった。(・・,)グスン
みどりが「買ってきちゃった」と出したのが、夢見たペアのマグカップじゃなくお椀だった事に笑い、自分のベッドで眠るみどりの寝顔を嬉しそうに見つめる秀雄を見てると、こっちが「どうぞ神様」とお願いしたくなっちゃうよね。
ドラマの中で一夜を共にした男女は、翌朝裸でベッドの中ってーのが普通だけど、みどりと秀雄はちゃんとシャツを着て寝ていたのが、妙に微笑ましかったし・・・。
ってゆーか、みどりと秀雄はただ同じベッドで眠っただけなんだろうか?
自分の余命を知ってる秀雄が、簡単にみどりとそういう行為に至ったとは考えにくいしね。

麗子(森下愛子)の叔母さんが秀雄と同じ薬を飲んでたって事で、先週給湯室で薬を見ちゃった麗子は秀雄の病気を知ってしまった。
「私がみどり先生だったら、(病気のこと)言って欲しいと思う。」と言われ、秀雄もみどりに告白すべきだという気持ちにはなったけど・・・なかなか言えないよね。(涙)
勇気を振り絞って「大切な話があります」と切り出しても、みどり先生はプロポーズだと勘違いしちゃったし。
んで、先走って「私も同じ気持ちです。結婚して下さい。」って言われても、本来なら喜ぶべき事なのに辛くなっちゃうよ。
せっかく大好きなみどり先生が自分の事を好きになってくれたのに、自分の命はあと10ヶ月ほどしかない。
神様を恨みたくなっちゃうよね。

そして悩みを抱える生徒の赤坂(上野なつひ)に、「何もかも恵まれてる先生には私の気持ちはわからない」と言われているのを知り、ショックを受けたみどりが「そんな私でも母を亡くした時は本当に辛かった」と秀雄に話すとこなんて、どんな気持ちで秀雄が聞いているのかと思うとこっちが辛いよ。
「もう二度と大切な人を失いたくない」ってみどりの台詞には、ついつい「いやいや、まだ父ちゃん(大杉蓮)も死ぬ時来るで〜」と鬼のような突込みを心の中で入れてしまったけど・・・。(^^;ゞ
居た堪れなくなった秀雄がコンビニに出かけた間に、みどりがビデオカメラに気付く。
ここでもあえて過剰な説明はない。
次の瞬間、みどりは帰宅して黙々とアイロンをかけているだけ。
これだけでも想像はつくんだけどね〜、余計な説明しないで視聴者にそれを想像する余地を残してくれてるあたりが憎い!

秀雄がついにみどりに病気の事を話す。
おそろしく淡々と・・・。
「知ってました」と答えて、矢継ぎ早に新婚旅行の行き先について話すみどり。
「僕は結婚できません。」
もーーー、あたくし堪えきれませんでした。(号泣)
みどりが秀雄の部屋を出て、道すがら今までの秀雄の言葉の意味を思い出し、ついに泣き出すところでは相当泣いておりました。
そして冒頭で神様に「1分だけ時間を止めて」と願っていた秀雄が、最後には「神様お願いです。僕の運命を変えて下さい。ダメですか?」ですよ。(号泣&洪水警報発令)
みどりが出て行った部屋で、秀雄がビデオの向きが変わっているのに気付き、「再生」になってたスイッチを「切」に戻すという動きで、彼女が見てしまったというのを伝えるあたりもなかなか素敵な演出でした。

第7回
「間違われた婚約者」
脚本:橋部敦子
演出:佐藤祐市

もーーー、本当にこのドラマはいいね〜。
悔しいけどいい!
台詞という台詞を全部書き出してしまいたいほど、すべての台詞が素晴らしい。
金田先生(小日向文世)の「彼が辛い時に辛いと言える相手になって下さい。」もいいし、みどり先生(矢田亜希子)が長くは生きられない事を理由に別れ話をする秀雄(草g剛)に、「別れる理由にはなりません。」ってーのも(ToT)ウルウルきた。

ちょっと残念だったのは麗子先生(森下愛子)が、久保先生(谷原章介)に秀雄の病気について話してしまった事。
もちろん、それは久保先生が秀雄を誤解してたから、その誤解を解くためでもあったんだけど、ちょっと簡単に話しちゃった気がして驚いちゃったよ。
ドラマ的にはこれで久保先生も病気の事を知って、唯一職場の男性で秘密を共有する存在が出来たんだけど、これが実生活だと思ったらやっぱ麗子先生の口の軽さは許せないかも。

秀雄も母親(山本道子)に病気の事を話しに実家に帰るんだけど、途中で立ち寄った教会にみどり先生がいるんだよね〜。
んで、みどりと秀雄が一緒にいるところを母親が見ちゃって、てっきり息子が結婚相手を連れてきたと思っちゃうわけよ。
まぁ、当然だわなぁ。
こうなると秀雄もなかなか言い出せないよね、病気のこと。
母親は目の前で嬉しそうにしてるし、とても「実は余命一年なんだ」なんて言えないでしょう。
お母さんもいい味だしてんだよね。
みどり先生と一緒に布団の用意しながら、「こういう時どうするもんなの?一応、結婚前だし秀雄と一緒に寝るか、私と一緒に寝るか」なんて、素直に聞いてるお母さんが可愛い。
それに「じゃあ、お母さんと中村先生が一緒に寝るのはどうですか?」と、さりげなく秀雄が病気の事を話すきっかけを作るみどり先生。
うぅ・・・やっぱええ子でんな〜。(涙)
お母さんがお父さんに初めて買ってもらったネックレスをあげたくなる気持ちが、よ〜くわかります!
そのネックレスを簡単に受取らなかったみどりの気持ちも、どうしても渡したくてお土産の中に紛れ込ませた母親の気持ちも、凄く温かいよね。

結局、病気の事を話せず実家を後にする秀雄を見て、そっと秀雄の手を握るみどり先生。
そのそっと握られた手に癒された秀雄。
そして、私はこの後、秀雄が金田先生と話すシーンでの「いっそしちゃえば?結婚」って軽い台詞にヤラれました。
このドラマって本当に重くなりがちなテーマを、凄く当たり前の日常としてとらえて伝えようとしてるのが、ひしひしと感じられるんだよね。
「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える。」
この言葉も、さらっと言った金田先生だけど、しっかり言葉の意味は秀雄に伝わってたよね。
そして久保先生の「やっぱ俺だったら別れない」って一言も、秀雄の背中を押すのには十分だったんでしょう。
みどりとの結婚を決意した秀雄。
お母さんがくれた真珠のネックレスをみどり先生につけてあげて、母親に電話で結婚を報告。
そして、その次に言わなくてはいけない事をなかなか口に出来ず、辛そうにしている秀雄の手を、またみどり先生がそっと握ってあげるんだーーーーー!(号泣)
「手を握る」・・・たったこれだけの事で、こんなに泣かされたドラマがあるだろうか?
みどり先生の手から伝わる優しさに守られて、母親に病気の事を話し出した秀雄。
「僕、母さんより先に父さんに会うことになりそうだから。実は僕・・・。」
この先の台詞をあえてBGMをかぶせて聞こえなくしてしまう演出。
そこに聞こえるのはBGMだけ。そこにあるのは役者の表情だけ。
それだけなのに、これだけ胸を打つシーンが作れてしまうんですなぁ。(涙)
できるだけ余分なものを排除して、シンプルにシンプルに・・・。
ニクイけどヤラれちゃってます。m(_ _)m

第8回
「二人だけの結婚式」
脚本:橋部敦子
演出:星護

秀雄(草g剛)の母親(山本道子)、電話で何度も「ごめんね、ごめんね」って謝ってたんだってさ。(・・,)グスン
先週のラストで見事なまでに音声消されてたんだけど、こうやって後で何を言ってたのかわかるってーのも、また違った意味でぐぐっと来ますわね。
みどり(矢田亜希子)から秀雄の病気の事を聞かされて、それまで結婚に何ら反対しなかった理事長(大杉漣)が急に反対し出すんだけど、それも納得よね。
何も余命一年ほどの男に嫁がなくても・・・と親なら誰だって思うわよ。
「どうして死ぬとわかってる男と結婚するんだ」とみどりを問い詰める理事長に、「死ぬとわかってる男は彼だけじゃない。世の中の男全員よ!」って目にいっぱい涙をためたみどりが言い返すシーンは、そこだけでウルッと来ちゃったなぁ。
理事長も辛いよね。
娘の幸せを考えれば好きな人と暮らしたいというのを止められないし、でも病気の事を知ってしまったら素直に喜べないし・・・。

「僕たちは一緒に暮らし始める・・・幸せになるために。」と、みどりとの生活を始めた秀雄。
カーテンをつけ、大きな緑を二人で部屋に運び・・・という作業。
そして、「次、何をします?」というのがみどり先生の口癖みたいになっちゃったね。
秀雄に残された時間が少ないのはわかるけど、あれだけ「次は?」と気にされたら逆にプレッシャーにはならないのだろうか?(^。^;)

受験前の生徒たちにイライラが見受けられ、秀雄は放課後に体育館で歌を歌おうと提案。
しかし現れたのは杉田(綾瀬はるか)だけ。
うーん、ここで歌うのは「この道」だと思ったら、何でシューベルトの「野ばら」なんでしょうか?
秀雄の思い出の曲でもある「この道」にしてほしかったなぁ。
何で「野ばら」?(まだ言うか・・・)
杉田たった一人だった放課後の歌を歌う会。
そこに田中(藤間宇宙)が加わって、「これで合唱になりましたね」って秀雄の一言でまたジーンとしちゃったりして・・・。(^^;ゞ
でも、せっかく加入した田中君が、あまりに音痴で泣き笑い。(苦笑)

そうそう!学校の先生たちに自分たちが結婚すると伝えた秀雄とみどり。
そこで麗子先生(森下愛子)が、思わず屋上へ上がって泣き出すというシーンがあったんだけど、そこで麗子先生が言う台詞がまさに視聴者の気持ちなんだよね。
「結婚するなんて・・・あまりに素敵であまりに悲しくて。嬉しくて・・・悲しくて・・・。」
秀雄の病気を知った上で、全部承知してみどりが結婚する道を選んだ事は、とっても素敵な選択なんだけど、やはりすぐそこに秀雄の死が待っていると思うと、この結婚が悲しく思えてきちゃうんだよなぁ。

二人だけの結婚式。
神父さんの仰る「死が二人を別つまで、愛する事を誓いますか?」という言葉が、これほどまでに重く聞こえた事はなかったよ。(涙)
そこに現れた理事長。これで二人の結婚はきちんと認められたって事だよね?

独身最後のデートの時に秀雄がみどりと約束した事が、「愛し合うこと。50年分、愛し合うこと。」ってーのも泣けました。
金婚式は迎えられなくても、50年分愛し合って見せ付けて欲しいです。

第9回
「一枚の写真」
脚本:橋部敦子
演出:三宅喜重

今回は結婚式の写真を撮らなかった事に始まり、遺影の準備をしようとする秀雄(草g剛)、ビデオ日記の映像ですら消そうとする秀雄と、写真や映像を残すか残さないかという事にストーリーが絡めてあった。
写真は将来見るために残すもの・・・なるほど言われてみればそうだよね。

放課後の合唱に参加する生徒が二人から六人になっただけで、涙が出てしまうのは何故だろう?
このドラマを見ていると小さな幸せを感じられるようになる。
秀雄が死んでしまってから彼の意思が生徒たちに伝わるのではなく、ちゃんと生きているうちに彼の言動や行動が生徒を一人ずつ動かしていくのが見ていて嬉しい。
淡々と死に行く準備もしているようで、遺影に使う写真を撮ろうとしても笑顔が出せない秀雄。(涙)
「僕は素敵な顔で写りたい。人生最後の写真だから。」って、もうその言葉で号泣!

せっかく生徒が集まりだした合唱も、父兄からの反対意見が出てしまい、ついには母親たちが学校へ押しかけてくる。
確かに受験前の生徒の放課後を使って合唱というのは、親にしてみたら「何考えてるの?」だよね。(^^;
何とか合唱を続けさせてもらおうと、教頭(浅野和之)を説得する最中、秀雄が突然倒れてしまう。
んで救急車に運び込まれるところを、田岡(市原隼人)と赤坂(上野なつひ)が見てしまい、その後職員室で岡田(鳥羽潤)が「こんなに早く死なないですよね?」と言ってるのを聞いてしまう。
あぁ、先生たちにはちゃんと病気の事を伝えたんだけど、生徒には漏れてしまうわけね。
田岡が「中村、もうすぐ死んじゃうんだって・・・。」とあっさりみんなにバラしたのはちょっと驚いたけど、それがその後のあんないいシーンへ繋がるとは・・・。(涙)
秀雄が入院する病室へ向け、階下から「野ばら」を合唱する生徒たち。
あぁ、もうダメ。このシーンでボロボロ泣いちゃったよ。
いやぁ、みんなが歌う事の予測はついてたんだけど、病室まで入ってきて歌ったりしやがったらブーブー文句たれてやる!ぐらいの気持ちだったのに、さすがだね〜。
下から病室を見上げて歌うというのが、何とも胸を打つじゃないのさ。
しかも歌い終わってみんなが黙って一礼、それに対してみどり先生(矢田亜希子)がただ頭を下げるという動作が、何とも美しい♪
眠ってた秀雄の耳にも歌声が届いたらしく、「天使が歌ってるのかと思いました」の台詞もまたよし!
そして最後のみどり先生のおねだり。
「写真が欲しいです。やっぱり中村先生と一緒に写った写真が欲しいです。」
秀雄にしてみれば、いずれ誰かと再婚するであろうみどりに、自分の思い出を残すような事をしたくなかったんだろうけど、みどりはそれを欲しがった。
どちらも「愛」ですな・・・。(しみじみ)
遺影に使う写真を撮ろうとしても笑えなかった秀雄が、みどり先生との写真を撮る時に自然に出た笑顔に、生きてることの素晴らしさを感じてしまいました。
不思議とこのドラマからは幸せを感じているような気がします。

第10回
「最後の誕生日」
脚本:橋部敦子
演出:佐藤祐市

退院した秀雄(草g剛)は生徒たちに自分の病気の事を話す。
そして合唱部を続けるための条件が、次の模試で全員が志望校合格圏内のA判定を取る事。
何気に生徒たちがやる気を出してるのがいいね〜。
決して秀雄への同情ではなく、今までに秀雄が生徒たちに正面から向き合ってきたのが、やっと伝わったって感じなのがいいわ。
A判定取るのも無理じゃないかも・・・と思ったり、「読まなかった本」の話を思い出したり、今まで開かなかった生物の教科書を開いたり・・・。
小さなことなんだけど、本当にこのドラマから勇気をもらえるような気がする。

久保先生(谷原章介)が言ってたけど、秀雄が合唱をやろうと思ったきっかけは吉田君(内博貴)だったというのは本当なのかしら?
「勉強、勉強で辛そうに見えたから・・・。」って。
今回、本当に目標があるって素晴らしいと思ったよ。
合唱を続けたいがために必死に勉強してるんだけど、その真摯な姿って美しいよね。
そして全員がA判定を取り、合唱継続!
吉田君も入って、やっとこれでクラス全員が一致団結したわけね。
ジーン・・・。(ToT)ウルウル
歌ってる田岡(市原隼人)の顔を見て、田岡ママ(銀粉蝶)も満足そうだったけど、あんないい顔した息子をしばらく見てなかったんじゃないかしら?
みんなが秀雄の誕生日にハッピーバースデーを合唱するとこなんかも良かったよね〜♪
誰も練習に集まってないのに気付いた秀雄が、教室を覗きに行ったり、校内を探したりして、もう一度いつもの場所に行ってみるとみんなが整列してて・・・。
自分の勘違いかと思って、指揮を始めるとみどり先生(矢田亜希子)が「ハッピーバースデー」のイントロを演奏し、みんなが合唱するってやつ。
そして秀雄の「僕は今日で29歳になったんですね。」って一言にも、確実に重みを感じるんだよなぁ。(しみじみ)

その他にも、金田先生(小日向文世)に「(秀雄との)別れが来た時、娘はどうなってしまうのか。」と不安な気持ちを打ち明ける理事長(大杉漣)とか、ベッドの中でみどり先生のおでこにおやすみのチューをする秀雄とか、七夕の短冊に「少しでも長くいっしょにいられますように」と書く二人とか・・・。(涙)
途中でぽろっ、ぽろっと挿入される短いシーンでも、ちゃんと意味があるし何か伝わるものがある。
いやぁ、本当に今クール一番、しかもどこぞの局の教師とは雲泥の差!(キャラが・・)

合唱コンクールの予選も無事通過して、念願の「星が見える場所」での新婚旅行に来た二人。
いいよね〜、あんな露天風呂。
星を見上げながら二人でしっぽりしてるところで、「キスでもします?」と秀雄。
「そうですね」と答えるみどり先生。
o(^^o) (o^^o) (o^^)o キャアキャア♪めっちゃロマンティック・・・と思ったら、ついついふき出す二人というのも「らしい」感じ。
そんなラブラブな状態だったのに、やっぱ夜って不安が襲ってくるのかしら。
みどり先生の幸せな寝顔を見ていたら、きっと近付いてくる死が耐え切れなくなったんだろうね。
一人布団を抜け出し、声を押し殺して泣いている秀雄。
それに気付いたみどり先生が優しく抱きしめると、堰を切ったかのように「死にたくないよ」と号泣する秀雄。
当然、あたくしも号泣ですわ。。・゚゚・(>_<)・゚゚・。
みどり先生がね〜、目にいっぱい涙をためて、黙って秀雄を抱きしめている姿が目に焼きついて離れないわ。
不思議ね〜、このドラマって余分な台詞とか余計な説明とか一切ないのに、これほどまでに胸を打つんだから・・・。

最後の「僕は生きたい。もっともっと生きたい。僕は今世界で一番幸せなのだから。」ってーのも、「(゚ー゚)(。_。)ウンウン、そうよね〜。」と号泣しながら歯痒くなったわよ。

私ったら、このドラマが始まってから(っつーか「読まなかった本」の回以来)、すでに3冊の「読まなかった本」を読破したわ。(笑)
これってば、凄い影響力じゃなくて?(^^;ゞ

最終回
「愛と死」
脚本:橋部敦子
演出:星護

最後までいつもの淡々としたペースで、過剰な演出をせず、無駄な音は極力排除した、このドラマらしい最終回でした。

最初の方で出掛けに流しの蛍光灯が切れかかってて、「帰ったら取り替えます」と秀雄(草g剛)が言った時点で、「きっともう帰って来れないのね(・・,)グスン」と思ったけど、そうわかっててもいざ帰れないとなると泣いちゃうんだよね。
みどり先生(矢田亜希子)が「帰ったら取り替えるって言ってたのに・・・」って泣くシーンも(ToT)ウルウルしちゃったわよ。
話は前後するけど、余命1年だと診断されたのに、その1年を過ぎても生きていた秀雄が、実家に送る荷物を詰めたり、死んだら知らせて欲しい人のリストを作ってたり、何かと死ぬ準備をしている姿が辛かった。
でも、本人はそれをまた淡々とこなし、みどりも泣くこともなく「わかりました」と受け入れてるあたりが、もう凄いとしか言い様がない。
私だったら、秀雄の立場でもみどりの立場でも、あんなに立派な事できないかも・・・。

生徒たちは吉田(内博貴)を除いて、受験した全員が合格。
そして合唱コンクールの日、指揮をしていた秀雄が合唱後、壇上で倒れてしまう。
命は取留めたが、胃からの出血は止まらず、いつ急変してもおかしくない状況。
合唱は無事決勝進出できたが、指揮者の秀雄は入院。
金田(小日向文世)に退院をさせてくれと頼んでも、もちろん無理!
そんな時、お見舞いに来てくれた久保先生(谷原章介)に、タクトを渡す秀雄。
私はてっきり久保先生に指揮をお願いしたんだと思ってたわ。(勘違い)
秀雄がタクトを託したのは、受験に失敗した吉田君だったのね。

退院が無理ならと、外出を申し出るも「医者として許可できない」ときっぱり金田に断わられ、自分らしく生きたかった秀雄は母親(山本道子)に「ありがとう・・母さん」と最後に感謝の言葉を残し、病院を抜け出す。
ここでの秀雄の母親の演技も良かったね〜。
最初は「ありがとう」の言葉に笑顔なんだけど、その意味をわかって(さすが親子)我が息子がこの言葉を自分との別れの言葉に選んだんだと察し、すぐさま表情が変わるあたり・・・もう秀逸でしたわ。

そして最後の力を振り絞って、コンクール会場へ向かう秀雄。寄り添うみどり。
会場ではリハーサルでうまく指揮ができなかった吉田に苛立つ生徒たち。
秀雄が指揮者に吉田を選んだのは、本番に負けない強さを身に付けさせたかったからなのかもしれないね。
きっと翌年の受験までは自分は生きていないから、合唱コンクールで彼に自信をつけてもらいたかったんでしょう。
決勝の本番でなかなかタクトを振れない吉田に、会場へ駆けつけた秀雄がただこっくり頷くだけで、彼は勇気を持てたのね。
秀雄の存在そのものが、勇気の象徴になっていたのかも・・・。
吉田君の指揮・・・ちょっとテンポ速いんじゃない?(^。^;)と思ったけど、振り方としては秀雄よりカッコよかったような・・・。(^^;ゞ
んで、結果は3位。
余韻を楽しむように会場にみどりとたった二人で残っていた秀雄。
ここでみどりに話す内容が泣けちゃったよ。
「余命1年と知った時、それまでの28年を後悔した。そして残りの人生を悔いのないように生きようと思い、その通りに生きた時、過去の28年を愛しく感じた。」
(゚ー゚)(。_。)ウンウン、そうなのかもしれないと妙に納得。
余命1年と宣告されたら、きっとそこまでの人生を「何て無駄に生きていたんだ」と悔いてしまうかもしれない。
でも、その無駄とも思える人生があったからこそ、残りの人生を尊く感じる事ができるのかもしれない。
そういう意味では無駄であって、無駄ではない。
あぁ、人生って深い、そして素晴らしい・・・って感じでしょうか。
会場に戻って来た生徒たちが、舞台の上から「仰げば尊し」を歌ってくれるんだけど、その歌声を聴きながら秀雄は生徒たちの事、合唱の事、そしてみどりとの幸せな日々を回想するんだよね。(涙)
そして、その幸せで素晴らしかった1年と少しを振り返りながら、静かに眠りにつくわけよ。
最後にみどりとの楽しいデートを思い出して「すなぎも・・・」って言葉を残して。
みどりへの最後の言葉が「砂肝」かよ!と思ったけど、この「砂肝」は明らかにみどりの事を考えていて出た言葉だし、最後の最後に秀雄がみどりを思って旅立ったと思うと、もう・・・あーーー、ダメだーーー、書きながら泣けてきた。(感涙)

そこから5年後へ時が流れて、吉田君が生物の先生として赴任してきたのには驚いたよ。
そして生徒たちに「読まなかった本」の話をする吉田君を、そっと見つめるみどり先生。
生前、秀雄と話していた「もし、どうしても会いたくなったら、プロポーズした大きな樹の下に来て下さい。必ず会いに行きますから。」って言葉の通り、みどりが吉田君の事を大きな樹の下で報告してるのが微笑ましかった。
ありがちな墓前に報告って形ではなく、思い出の木の下ってーのがいいじゃないのさ。
「秀雄さん、私はとても元気です。」
約束通り、秀雄が樹の反対側でそんなみどりをそっと見守っているのが素敵。
大好きな人が死んでしまっても、その人に「私は元気です」と報告しながら日々を送れるように生きて行きたいなぁとも思いました。

「僕は生きた。君がいてくれた、かけがえのない人生を。世界にひとつだけの僕の人生を。」

主人公が死んでしまうドラマだったのに、見終わった後に勇気や元気や優しさをもらったような気がする後味の良いドラマだった。
間違いなく私が求める「記憶に残るドラマ」のひとつになりました。
スタッフ・キャストの皆さん、ありがとう。m(_ _)m
とりあえず、旦那が死んだ後、どの樹の下で落ち合うか決めておこうと思った次第です。(って、何だか違うような気もする・・・(^。^;))

 

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