生存・愛する娘のために

原作:福本伸行 かわぐちかいじ/脚本:青柳祐美子(第1・2回)・森脇京子(第3・最終回)
演出:大森青児(第1・2・3・最終回)

第1回

うわーーー、良かった。
初回見て面白くなかったら、そのままレビューも書かないで終わってやろうと思ってたんだけど、これがどうして最近のNHKの裏月9、マジで侮れん!
「人にやさしく」をリタイアして大正解!
このドラマの初回に間に合った自分の運命に感謝するよ。(大袈裟)

武田(北大路欣也)は一人娘の佐和子(上野樹里)に14年前に失跡されて、妻も亡くした上、自分もガンだと宣告される。
もはや生きる望みを失った武田は首をくくって自殺しようとするが、そこへ1本の電話が・・・。
それは警察の村井(富田靖子)からで、佐和子の失跡事件で進展があったという知らせだった。
警察に出向いた武田の目の前にあったのは、すでに白骨化した佐和子の遺体。
自分の娘であると確認してくれと言われても、白骨化した遺体を見て確認などできるはずもなく、遺留品にも見覚えがない。
しかし歯形での照合が済んでおり、遺体は佐和子のものであると断定される。
殺人事件に巻き込まれたらしいが、すでに14年前の事件で殺人事件の時効までは残り3ヶ月程。
ガンだと宣告された父親は、残りの命を娘のために犯人を探すために使おうと決心する。
そんな武田の気持ちを知って、協力しようとする村井。
「病気のこと聞きました。無理しないで下さい。」という村井の言葉に、間髪入れず「無理します!」と言い切った武田の力強さ。(泣)
もう死んでしまおうかと思ってたのに、今はもうこの世にいない娘のために余命を全部使っても、自分の手で犯人を探し出したいという父親の執念みたいなものを感じるんだよね〜。

佐和子が家を出た頃は、見事なまでに仕事人間でその当時佐和子が何を思っていたか、何をしていたか、まるで覚えのない武田。
そんな武田を刑事の村井がさりげなくフォローするんだよね。
「私だったら15・6の頃、親にも友だちにも言えない事を日記に書いたりしてました。」と言われれば、日記を探して読んでみるし・・・。
そんな中で、佐和子の旧友に会い、日記の中に書かれた「UT」という言葉の示す意味を聞き出した。
「UT」=「海野たつき」
その当時佐和子や友だちが気に入ってた作家らしい。
特に佐和子が一番ハマっていたらしく、その海野たつきについて調べて行くと、ちょうど佐和子が失踪したその日に近江八幡の美術館で彼の個展が開かれていた事がわかる。
その美術館に行ってみると、来館者の記念の書き込みに佐和子の名前を発見。
その近くで大したお金を持ってなくても泊まれる宿泊施設ということで、ユースホステルに目をつけて捜すと、そこにも佐和子の泊まった記録が残っていた。
まぁ、14年前の出来事を追っているにしてはかなりスムーズに糸口が見つかってるような感じはするが、あんまり突っ込みたくなるようなあさはかさはない!
全体的にいい感じの重々しさ。
うーん、こんな雰囲気好きなんだよね。

ユースホステルをチェックアウトして美術館に向かったにしては、美術館に残された佐和子の書き込みの時間「3:00」というのが気になる武田。
どこかで寄り道をしたのでは・・・。
すると突然父親の脳裏に浮かび上がる光景、そう、実はこの場所は佐和子が小学校4年か5年頃に親子でスケッチに来た湖がある場所だったのだ。
その事に気付いて、村井の声も耳に入らず、どんどん記憶を辿りながら小道を分け進んで行くシーン。
なーんか泣けちゃってね〜。(・・,)グスン
この父親は自分の娘を殺した犯人を追ってるはずなんだけど、その中でいつの間にか娘との懐かしい記憶も辿ってるのよ。
その辺の描写と、美しい風景が何とも絶妙で・・・。

小さな佐和子が湖の側で拾ったどんぐりを瓶に詰め、「どんぐりのタイムカプセルだ」と木の根元に埋めた記憶。
今度はその記憶を辿って、ある木の根元を掘り起こすとちゃんとあるのよ〜、どんぐりのタイムカプセルが・・・。
そして同じ場所にもうひとつ埋まっていたのは、なんと14年前失跡した佐和子がユースホステルから美術館に行く間に描いたスケッチと手紙。
娘も14年前にここで親を思い、普段伝えられない言葉を手紙に託し、いつかまだ見ぬ未来に親子でこの場所に再び来て、一緒に掘り起こす事を思って埋めたのかと思うと、泣けるのよ〜。
その手紙を読み終えて、「佐和子、ごめんね。ホンマにおまえの事何にもわかってへんかったんや。堪忍やで。」と泣く武田。
「お前に何があったんや?何であんな姿で戻ってこなあかんかったんや?何でやねん!」と泣き崩れる武田で、私も(ToT)ウルウル。

久々にハードパンチャーにぶつかったって感じ。
こういうのがNHKの得意分野なんだよね。
いっつも軽いシフォンケーキ食べてたのに、久々にどっしりしたチョコレートケーキ食べたら、もの凄く美味しかった♪みたいな・・・ってわかる?(笑)
これは来週も絶対見る!

第2回

佐和子(上野樹里)が描いた絵の中に、青い車が描かれているのに注目した武田(北大路欣也)。
美術館の来館者名簿で14年前に訪れた人物を探し、しらみつぶしに電話するとある女性から写真の提供があった。
その写真には絵の中に描かれている車とよく似た青い車、そして佐和子らしき女の子の後ろ姿と、その横には男性の後ろ姿が写っていた。
武田の熱意に打たれた白川(平田満)が作ったポスターのおかげで、佐和子が美術館を出た後、会ったという女性もわかった。
14年前に美術館を出た後、ボランティア施設を訪れた佐和子は、そこで自分を必要としてくれる人のために働きたいと語ったと、その女性は教えてくれた。
ポスターの中にあった遺留品の指輪が、その施設で佐和子がもらった物だった事から、施設の職員がこの女性に事件の事を教えてくれたらしい。
閉館間際に訪れた佐和子の帰りを心配して女性が「大丈夫か」と尋ねると、佐和子は「父の迎えが来ているので大丈夫」と言い、施設を出たと言う。

うーん、ちょっとうまく行き過ぎてるなぁ。
14年も前の事を、こうもスイスイみんなが思い出すというのが、ちょっと不自然ではある。

その日の12時、時効成立。
犯人が海外に行っていた場合、その期間が延長されるという法律から、まだ見ぬ犯人が海外へ行っていた場合を考え、諦めず探す決意を固める武田。
まさにロスタイム突入だね。

諦めなかった事が幸いしたのか、佐和子の日記から昔よく行っていた喫茶店を割り出す。
「父の迎えが来ている」と佐和子が言った事から、犯人は顔見知りであると思った武田は、その喫茶店で当時佐和子が交際していた男性がいなかったか聞く。
そして浮かび上がったのが、その喫茶店の近くでビルを持っている金持ちのどら息子・佐藤(草川祐馬)。
うわーーー、草川祐馬って微妙。(^。^;)
ってゆーか、この草川祐馬の事を調べて、彼の知人に聞き込みするんだけど、その知人の中の一人に亀山忍ってーのも微妙・・・。
草川祐馬出すんだったら、まだ太川陽介ルイルイの方がよかったかも・・・。(笑)
この佐藤が車道楽で、次々と車を乗り換えていた事がわかるんだけど、その昔青のパメラという外車に乗ってて、それが写真に写ってる車らしいって展開なわけよ。

うーーーん、やっぱ14年前の話にしては、ちょっとスムーズ過ぎるよなぁ。

佐藤が下取りした車をさかのぼって行くと、青のパメラに行き着くはずだと確信し、村井(富田靖子)と武田は調査するのだが、なぜかパメラだけ行き当たる事ができない。
それで原因が「下取りに出せない理由があったからでは・・・」と思うわけだ。
んで、次は廃車になってないか調べると、ちゃーんとあるのよね〜記録が。(苦笑)
廃棄された車が積み上げられている場所に行き、片っ端から見て回るがここでも青のパメラは出て来ない。
途中から合流した手塚(野村宏伸)が、赤のパメラを見つけて「パメラはパメラだけど、色が違うんだよなぁ。」ってわざとらしい台詞を吐いたところで、勘のイイみなさんならもうお気付きだったでしょう。(笑)
そう!その赤いパメラに傷を入れてみると、赤の塗装の下から青い塗料が顔を出すんですよ。
塗装しなおして廃車にしたんですか?
さすが金持ちのどら息子はお金のかけ方が違いますわ。(爆)

その車のトランクの内側から「たすけて お父さん」と犯人の名前「佐藤」の文字を発見し、「佐和子ーーー!」と叫ぶ武田。
佐和子がトランクの中に閉じ込められながら、最後の力を振り絞って刻んだ文字。
こんなん見つけたら気が狂うかもしれないわ。

娘のために病気の身で、必死に犯人探しをする父親の心情は伝わる。
だけど、やっぱあまりにするすると解けて行く糸には、いささか疑問が残る。
4話で完結する話だから、あんまり引っ張れないんだろうけど、14年も前の事件を調べてちょっとした糸口から少しずつ解決へ向かうという感覚は得にくいかもしれないね。
どうせだったら10話連続ぐらいにして、もっとイライラするぐらい事件の糸口が見えない方が信憑性はあるんじゃないだろうか?

あと手塚と村井の間に、もしかしたら「愛」が生まれそうな気もちょっとするんだけど・・・。
逆に言えば、村井と交際相手(井上チャル)のエピって必要?なーんて気もするんだけどね〜。

第3回

犯人と思われた佐藤(草川祐馬)には、1年近くの渡航歴があった。
つまり佐藤が犯人だとすると、時効は約1年延びるわけだ。
しかし、調べを進めるととんでもない事実が発覚。
佐藤が海外から帰国したのが、佐和子(上野樹里)殺害の事件当日。
佐藤が大阪の空港に帰国したとすれば、それでも犯行は可能だったんだけど、なんと佐藤が帰国したのは福岡空港だったのよ。
これは物理的に無理!犯行現場に犯行推定時刻に到着する事はできない。
佐藤のアリバイ成立。

せっかく犯人にたどり着いたと思ったのに、ショックだよなぁ。

それでも諦めきれない武田(北大路欣也)は村井(富田靖子)と一緒に佐藤を訪ね、どんな小さな事でもいいから教えてくれと食い下がる。
そして当時、佐藤が犯行に使われたと思われるパメラを貸した人物を聞き出す。
数名の名前が挙がる中、「さとちゃん」と呼ばれていた「さとし」という人物が浮上する。
佐和子はみんなに「さとちゃん」と呼ばれているその人物を、勝手に「佐藤」という名前だと勘違いしていたのではないか・・・。
車のトランクに刻まれた佐和子のダイイングメッセージ、「佐藤」はそういう背景があったのでは・・・。
あとは腕に3本刻まれた傷のような絵を佐和子は残した。意味のわからぬ7桁の数字と・・・。

佐藤に「さとし」という人物の事をもっと思い出してもらうと、なんと「さとし」は当時商社に就職が内定していた事を喜んでいたという。
そして、その会社は・・・明和物産。武田が勤めていた会社である。
もう、この時点で犯人の顔が浮かんじゃったよね〜。そういえば怪しかったもん!(笑)
手塚(野村宏伸)が会社で調べてみると、15年前に入社した社員の中で「さとし」という名前の人物はたった一人。
中村(別所哲也)である。
しかもどう計算しても中村の時効はその日の深夜0時。もう時間がない。
裁判所に書類を提出するには物証が必要だという村井。
そのためには中村の腕に3本の傷があることを確かめるか、残るは自白しかない。
武田は最後の望みをかけて、中村の部屋を訪ねる。
わざとらしくビールをこぼしてみたりして、腕の傷を確かめてみるが中村の腕には1本しか傷がない。その事をトイレの中から村井に電話で伝える武田。
トイレの中って意外と音が響くから、聞こえてやしないかとヒヤヒヤもんですわ。(^。^;)
どれだけ問い詰めても口を割らない中村。
八方塞の武田は、再びトイレにこもって策を考える・・・と、そんな武田の目に飛び込んできたのはトイレの中にある日めくりカレンダーの横に書かれた「1」という赤い文字。
「きっと時効までのカウントダウンに違いない」と読んだ武田は、トイレを出ると部屋中のゴミ箱をあさって、ちぎった日めくりの紙を見つけ出す。
そこには「4」「3」「2」という赤い文字・・・やはりハムの人は時効を知っていた。
しかし時効が正確に何時かまで調べてた男にしては、日めくりカレンダーの横にカウントダウンの数字を書いておくというのはあさはかだったな。
「今日はもう喋りませんよ」と意味深な笑いを浮かべる中村に、武田はキッチンに置いてあった包丁を手に取り、中村に近付く。
そんな時、時計の針は無情にも12時を指す。時効成立。
「もう終わったんだよ」と高笑いの中村・・・逝ってよし!

相変わらず45分釘付けだ〜。
しかし中村、最初からいけ好かない奴だとは思っていたんだけど、なんと武田のこんな身近に犯人がいたとは・・・。武田さん、悔やんでるだろうなぁ。
犯人と15年間同じ会社で、同じ空気を吸って仕事してきたんだもんね。
この15年、何をしてたんだろう・・・って、私なら凄く落ち込むと思う。
あらためて「時効」って何?とか考えちゃったよ。
15年経って犯人が見つからなかったら、それでその事件は終わりなんて、被害者側だったら割り切れないよね。

しかしこの間知り合ったばかりの、村井と手塚、急接近って感じじゃなかった?
昔からの知り合いのようにケンカしたりして、その密度は何?って感じ。
早くも来週で最終回。どういう結末になるのでしょうか?

最終回

やっぱ4話完結だと早いわ、もう最終回。

中村(別所哲也)の時効が成立し、佐和子(上野樹里)の無念をはらす事ができなかった武田(北大路欣也)。
武田を家に連れて帰った村井(富田靖子)は、佐和子が生前出したと思われる絵葉書を発見する。
犯行が行われたのが7日だと思われていたのに、絵葉書の消印は12日。
佐和子が12日まで生存していて、ハガキを投函したのか?
いや、違う。これは佐和子が生前に書いたものではあるが、佐和子が死んだ後に犯人が捜査の混乱を狙って出したもののようだ。

村井はこの絵葉書を使って、最後の勝負に出る!
時効を迎えたと喜んでいる中村を早朝訪問し、身柄を暗に確保する。
そしていろいろな証拠を持ち出し、最後の切り札として絵葉書を提示した。
消印の日付が12日だという事を示し、その日まで佐和子が生きていたという証拠になれば、事項はさらに5日延びると中村に告げ、彼の口から自白するのを促そうとする。
かなり動揺を示す中村だけど、用意周到な男だから12日に自分が殺害現場にいられなかったという、所謂アリバイを探すわけね。
すると中村は問題の12日の日付が入った、北海道研修の時の写真を村井に見せ、自分がその日には北海道にいたと主張。
また中村の高笑いなわけよ・・・。

もうこれまでか・・・と思ったら、佐和子のダイイングメッセージに残されていた7桁の数字の意味に武田が気付き、手塚(野村宏伸)に調査依頼するのよね。
その7桁の数字、株価の終値だったんだって・・・。
佐和子の母親の唯一の趣味が株で、毎日ラジオで株価を聞いていた。
誕生日にラジオを買ってもらった佐和子は、そのラジオを肌身離さず持っていて、事件に遭って車のトランクに押し込まれた後も、狭いトランクの中でラジオを聞きその日の終値を刻み込んで、自分がその日まで生きていた証を残したってわけ。
多少疑問は残るけどね〜。
ラジオと言っても、カードラジオのような小型なものじゃなく、そこそこの大きさがあるものだったのに、なぜそれがトランクの中にあったのか・・・とか、トランクの中でラジオを聞いたとしたら、音が響きそうなのに、なぜ犯人は気付かなかったのか・・・とか。

なんせ調査を頼まれていた手塚から中村の家にいる武田にファックスが届く。(ここも中村の家のファックスに届くのが、ちょっと段取り良すぎなんだけど)
武田が調査を頼んでいたのは、15年前佐和子が殺害されたと思われていた7日以降の株価の終値。
案の定、トランクの中に刻まれたのは7日と8日の株価の終値と、まったく同じ数字。
つまり佐和子は事件には巻き込まれたが、7日に死んだわけではなかった。
その証拠が株価の終値。
しかもここまでに中村は調子に乗って、犯人しか知りえない殺害時の状況を村井に話してしまってたし、佐和子が7日以降数日生きていた事がわかれば時効は延長される。
ぎりぎりのところで一気にひっくり返す事ができた武田。
ちょっと都合がいいような気もするが、武田がちゃんと佐和子の無念をはらしたという結末には納得できたかも・・・。

問題はその後。
娘を殺した犯人を病魔と闘いながらも逮捕に追い込んだ武田は立派だが、末期であと3ヶ月とか言われてたガンが進行してないどころか、むしろ小さくなってるってどうよ?
ちょっと出来すぎ?
しかも手塚も明和物産を辞めて他の会社に行くことになり、その会社へ武田も誘うというのはいらないストーリーかも・・・。
「俺が誰かのためになるんか?」という武田の問いかけに、「僕のために・・・そしてみんなのためになります」と手塚が答えて、「少なくともお前のためになるんやな」というやり取りはよかった。
佐和子が亡くなる前にボランティア施設を訪れて、「誰かのために働きたい」と言っていたその言葉を父である武田が受け継いだんだろう。

それにしても村井と彼氏(井上チャル)のエピは本当にいらなかったと思う。
たった4話しかないのに、そういう無駄な部分があったのは惜しい。
テイストとしては好きな分野のドラマでした。

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