この冬の恋

作:山田太一/演出:宮本理江子

全1回

まさしく山田太一ドラマだった。
決して長ったらしくない台詞が、登場人物の間で見事にやり取りされて、きちんと伝わる。
なかなか見応えのある112分。
冒頭部分は若干急いだ感じもしたが、圭子(田中美佐子)と克(要潤)の出会いから描いての2時間枠では、まぁこんなもんだろうとも思えた。

何よりビックリは要潤だ!
小さなお子様をお持ちの主婦の皆さまなら、つい先日終わったばかりの「仮面ライダーアギト」を1回ぐらいはご覧になったでしょう。
そのアギトで氷川刑事を演じていた要潤、はっきり言ってG3という装着パーツをつけて強引に仮面ライダーもどきになって戦うという、お世辞にもカッコいいライダーではなかったのだが、あの要潤を見る限り、こんなに出来る奴だとは思えなかった。
じゃあ、氷川君の役を演じきれてなかったのか?
それぐらい「この冬の恋」での要潤は良かった。

高校の先輩だった由香(渡辺えり子)と共同経営で外壁のクリーニング会社をやっている圭子。
38歳で独身の圭子は、最近では小さいながらも軌道に乗りつつある会社で働いたお金で、ホストクラブへ通ううち、その店の新人ホスト・克(要潤)と知り合う。
店以外でも克と会うようになった圭子は、克に店を辞めてもらおうと決まった額の金銭で克との恋愛関係を結ぶ。
まぁ一般的にはこれを愛人関係とも呼ぶのだろうが、映像見ている限りそんな感じには見えないのよね。
圭子はこの歳になって恋愛相手を選ぶ時間もないし、それだったらお金で面倒くさくなく契約した方がいいって言ってたけど、本当は克を好きになってたのよね。
きっと38歳にもなってピュアに恋愛しちゃってる自分への照れ隠し。

ある日、克が「結婚したい人ができた」と言い出し、圭子にこの関係の終わりを告げる。
急に克の口からそんな事を聞かされた圭子は動揺するが、11歳も年上の自分が慌ててはならないと必死に冷静を装う。
こういう所に共感したってゆーか、きっと私もそのぐらいの年で収入はそこそこあるけど、恋愛相手を見つける暇なんかないって感じだったら、まぁ金で男を見つけるかどうかは別として、男に別れを切り出された時に、「あっ、そ〜!」みたいに突っ張っちゃうと思うなぁ。
泣いてすがったりってことは、自分のプライドもあって絶対にできない。
そういう女性の心理がうまく描かれてたし、その片隅でやっぱり寂しいという微妙な感じもよくわかるのよね〜。

この圭子と克の間に絡んでくるのが、菊川(小林稔侍)と由香。
菊川は圭子が克と最後に待ち合わせした湖畔のホテルへ向かう途中で、圭子が車ではねてしまったかのように見えた男性。
結局は菊川がいろんな事に絶望して、たまたま通りかかった圭子の車めがけて飛び込んだんだけど、腕の骨折で済んでしまったという結果。
こんな妙な出会い方をした菊川が、圭子のプッシュもあって外壁クリーニングの会社で働くようになって、うまく絡んでくるわけだけど・・・。

とにかく金銭関係だけでさっぱり付き合ってると思ってた男が、別れを切り出した途端に自分の生活がすべてうまく運ばなくなるほどの感触。
そして克だって、本当は好きになってしまった圭子と、お金で繋がっているその状況を打破したかったという男心だったわけで、そのちょっぴりせつないお互いの恋心がひしひしと伝わる、だけどそこは「ベッタリ恋愛モード」ではないストーリーでした。

登場人物は決して多くなく、ややこしくないのも良かった。
小林念侍、渡辺えり子のうまさは言うまでもなく、田中美佐子のサバサバ感と年上の女性に決して強引な態度に出れない要潤の二人も素晴らしい。

結果としては圭子と克は元のさやに戻った・・・というか、今までの事は忘れてここから始めようという終わり方で、そのあたりもさっぱりと描かれていた。
重くなく、でもどこかせつなく、ちょうど30代の私なんかには結構好感もてる作品だったんだけど・・・。

ただ1点気になったのは、肝心なラストで圭子と克がやっぱりお互い一緒にいたいという気持ちを表し、克が圭子を抱き寄せキスするというキメのシーン。
ここでそれまで俄然いい感じだった要潤に、ちょっぴり遠慮が見えてしまった。
大先輩女優・田中美佐子へキスをするというのにビビッたか、抱き寄せ方が半端だった。
こういう所は是非思い切って「ぐい!」と引き寄せてほしいものだ。
そしてその後のキスシーンも、「腰が引けてる」ならぬ「肩が引けてる」状態で残念だった!

このドラマ、もっといろんなエピを盛り込んで10回連続モノだったとしても、充分見れたと思う。
ってゆーか、不作の今クールだけにちょっと見てみたかったかも・・・。
いやいや、どうして、要潤!(笑)
管理人の気になる存在になってしまったようだ。('-'*)フフ

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