ドラマスペシャル 「TEAM」

企画:石原隆
プロデュース:関口静夫
脚本:君塚良一
演出:河野圭太

「TEAM」は支持する人が多いドラマだけど、スペシャルでもそこそこのテンション保つのって難しいと思うのよね。
ところが、もう・・・これは「さすが」としか言いようがない!
企画・・石原隆
脚本・・君塚良一
プロデュース・・関口静夫
演出・・河野圭太
こういうメンバーで作っておいて、ハズしようがないんだけど、文句なく面白かった。

ゲーム感覚で行われる少年犯罪。
ターゲットをうまくおびき出し、手足の自由を奪い、財布を奪取し、最後に両膝をハンマーで叩き潰す。
字面だけでも痛い犯罪だ。
そのゲーム感覚の犯罪の被害者が全員、1年前の傷害致死事件の加害者であることが判明し、丹波(西村雅彦)とコンビを組んだ文部科学省の風見(草g剛)はまだ被害にあっていない事件の加害者だった少年たちを探す。

なんちゅーか、被害者やら加害者やらの少年少女たちが、有名どころの子役(というには成長しちゃってるけど)なのも見応えありましたわ。
「永遠の仔」の(邑野未亜・勝地涼)、「ロングラブレター・漂流教室」の(松本伸夫)、「ある日、嵐のように」の(崎本大海)などなど、よくぞここまで揃えたなぁってなもんですわよ。

冒頭から、やたら登場するいい人そうな栗栖審議官(風間杜夫)。
風見はこの栗栖に絶大なる信頼をおくのだけど、こういう人ほどドラマ的には怪しいわけで(笑)、それが案の定って話でございました。m(_ _)m
早い話が、1年前の事件で亡くなった子供というのが、実は栗栖審議官の子供だったんだよね。
栗栖さんは奥さんと別れて、その奥さんが息子を引き取り再婚したために、ドラマの前半ではまさか栗栖さんがこの事件に関係してるとは、微塵も思わせなかったんだけど・・・。
そのフェイクとして活躍したのが、亡くなった生徒の先生だった村瀬教諭(篠原涼子)。
何かにイラついて、やたら爪を噛む仕草はちょっとわざとらしかったものの、前半は完璧に村瀬を怪しませる創りになっていた。
そこで一気に栗栖審議官の背景が浮き彫りになり、警察の上層部の人間が自分の息子を殺した少年たちに仕返しするため、同級生だった生徒たちを遠隔操作し、犯罪を犯させたという流れがわかるんだけど・・・。
私も一応子持ちの親なわけで、そういう視点で見ると、任意同行で警察に出頭した栗栖が罪を認めて、自分の正当性を主張しているとこ妙に頷いちゃうんだよね〜。
やっぱ自分の子供を殺されたら、殺した犯人って憎いわけじゃない?
それでその犯人が刑務所で服役でもしてりゃ、多少「法で裁かれてるんだ」って納得したりもするんだろうけど・・・。
栗栖の場合、息子がリンチを受けたのではなく、喧嘩でやりあって死亡したという事になってた。
それも息子が持っていた本で、相手の拳を払ったから・・・。
それで一方的な暴行ではなく、喧嘩だと判断された。
この話を聞いてた風見が、「それだけで不公平な審判が下されるとは思いません」と栗栖に反論してたけど、私には栗栖審議官の言葉の方が納得できちゃったのよ。
親は自分の子供を信じてるし、自分の子供を愛してる。
それを踏みにじる奴は許せないのよ。
栗栖審議官がやった事はもちろん許される事ではないけれど、この人の親としての部分を責めきれない自分がいたのは事実。
風見が言った「どうして仕返しという単純な犯罪を・・・?」という台詞にも、「単純に息子を愛した親だったから」なんじゃないのかなぁと考えてしまったわ。
人間は頭で割り切っていても、本当にそういう立場に立ったら冷静な判断力なんか失くしてしまうんじゃなかろうか?という不安をいつも抱えていたり・・・。
それこそ栗栖の「人は理屈だけで生きてないんだ」という一言は、まさにその通りだと思ってしまったよ。
「民事裁判に持ち込めばよかったじゃないですか?」という風見に、「民事の相手は親じゃないか?息子を殺した子供たちが罪を償うわけじゃない!」と反論する栗栖とか、申し訳ないけど、わがままかもしれないけど、正直に言えば全部栗栖に共感していました。m(_ _)m
ただね、やはり風見の「あなたは子供を犯罪者にしたんです」って言葉や、丹波の「それじゃ秩序が乱れてしまう。」って台詞には、ハッとさせられたよ。
ここらへんは君塚さんの緻密な脚本が冴えてたね〜。
栗栖が息子の同級生たちを遠隔操作して犯罪を起こさせたというシチュエーションじゃなくて、栗栖が自らの手ですべての犯行を行ってたら、ちょっと意味合いが違ってしまうし・・・。
最後に手錠をかけられ正々堂々と歩こうとする栗栖が、廊下にいた丹波と風見をちらりと見て一課長(大杉漣)に「君のコートを・・・」と頼み、丹波が「あなたにはみじめに逮捕されてもらいたい。」と言った通り、みじめな姿で連行されるところはぐぐっときました。

理想と現実が違うように、「こうあるべき」という形に人の心は簡単にハマったりはしない難しさが何ともせつないし哀しい・・・そんな今回の「TEAM」だったように思います。
ほんのちょっと夢を見られるドラマもいいけど、こういう人間くさいドラマも見る側の心を揺さぶりますわね〜。

 

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