WHITEOUT

ダム、富樫、そして約束。映画ホワイトアウトから敢えて取り出した3つのキーワード。もちろん、その他にも大切な構成ポイントがある。それでも今回はこの3点に絞ってみた。

巨大なダムの姿は圧倒的であると同時に荘厳で美しい。そのダムを富樫と一緒に守りたいと私まで思っている。原作を読んだ時、方向音痴の私は見事に雪山で迷った。その擬似体験で主人公と共に寒さと、一人での闘いを味わった。敵が見えていない分、彼と一緒に怖さに襲われた。このダムは富樫にとっては愛すべき場所、テロリストにとっては力を示す象徴なのかもしれない。

映画では、この普通の男、富樫と共に雪の中をひたすら歩く。自分も歩いている気になるのは、本を読んでいる時と同じだが、目で見ている分臨場感がある。途中、自分が挫折しがちなため、勝手な言い分と判っているが何度も「もう、いいから、ゆっくりしてよ」と思う。「一人ではムリなのでは?」とも思う。画面にはテロリストの姿が映っているにもかかわらず、いつのまにか富樫と同じく彼らが見えなくなっている。(笑)そこまでしてなぜ戻る?なぜ闘う?と何度も彼に問いかける。彼、そう、織田裕二ではなく、富樫に。

せっかく安全な大白ダムにやっとの思いでたどりつき、長見署署長と電話が繋がったとき、彼は言う。

「これから奥遠和に戻ります。約束したんですよ、必ず戻るって」と。

これには参った。もういい、こうなったら頑張ってダムに戻り、テロリストと戦い、人質を助け出してくれ、と思った。ひたすら一人で頑張る男と共に雪の中を歩いた気になった2時間。見終わって体が痛かった。これは、「スピード」を見た時以来だった。きっと力をいれて観ていたのだろう。テロリストリーダー宇津木の哀愁のワルぶり、そして長見署署長に心を鷲掴みにされたことも映画の大切な要素として記しておかねばなるまい。

この映画、2度観たのだが、正直なところ、1度目は原作で頭にいれておいた位置関係と結びつけることに心奪われてしまい、あまり冷静に観ていなかった気がする。2度目は、本当に映画として楽しく、そして大変な雪山擬似体験をした気になったと思う。約束を守るということがこんなに大切でそして大変なものだったとは。場所が山奥のダムでなく、運転員が富樫でなかったらこの約束は守られなかったかもしれない。これから冬が来るたびに思い出す映画がまた一つ増えたのは嬉しい。ダム・富樫・約束、そしてそれを取り巻く様々な要因、どれひとつ欠けてもこんな気持ちにはなれなかったのではないだろうか。

++Cat++

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